知的財産ニュース 「営業秘密取扱者の無断持出し行為も処罰」に法改正

2014年5月22日
出所: 韓国特許庁

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韓国特許庁は、2014年5月22日開催された第18回経済関係長官会合において、「創造経済の基盤強化に向けた韓国企業の営業秘密保護策」を関係省庁合同で上程、確定した。

今回の案件は、営業秘密の法・制度の見直し、流出の前後に合わせた支援、営業秘密保護の基盤構築、国内外の連携体制の構築など、多方面にかけた相互対策をまとめた。

営業秘密の法・制度の見直し

営業秘密に関連し訴訟が起きた場合の原告の立証負担を緩和し、実体的な損害賠償額を実現する方策作りなど、「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」を改正する。

訴訟になった場合、原告が被告の営業秘密流出の事実を立証しなければならず、営業秘密の特性上、被告の具体的な流出行為を外部者である原告が正確に把握することは難ししいため、訴訟を避ける傾向があった。

こうした問題を解決するため、被告が流出行為を否定する場合、本人の具体的な実施行為の明示を義務付ける規定の導入を推進する。

また、裁判の過程で営業秘密が流出することを防止するため、法院の決定に応じて審理を非公開に進める非公開審理制度の導入も推進し、

流出事件の大半が営業秘密取扱者など、内部職員により発生していることから、現行法では処罰の対象になっていない営業秘密取扱者の営業秘密の持出し行為を処罰の対象に含む法改正が進められる。

※営業秘密の流出者: 退職者(75.2%),、協力/競合会社(13.3%) (2014年度の営業秘密実態調査)

流出の前後に合わせた支援

営業秘密の流出予防及び対応能力など、保護の能力が不十分な中小・中堅企業を対象に、流出の前と後に合わせた支援を行う。

流出予防のインフラ強化のため、中小企業のコア技術・営業秘密を安全に保護するため、任置金庫を4千個追加・設置し、

※任置金庫 : (2013) 8,000個 → (2014) 12,000個

企業に具体的な営業秘密管理方法を提示する「営業秘密保護ガイド」と、「競業禁止約定のガイド」を配布する。

営業秘密が流出したときの効率的な対応を後押しするため、外国企業・大企業による中小企業の被害事件は、営業秘密保護センター所属の弁護士を活用し、捜査・訴訟のコンサルティングを支援する。

さらに、迅速な初期対応のため、民間弁護士を中心に「営業秘密諮問団」を構成して基本的な法律相談を支援し、

技術流出の被害にあった企業については、緊急経営安定資金(中小企業振興公団)から10億ウォンの貸出し支援を行う。

営業秘密保護の基盤構築

国民の認識向上を図るため、営業秘密などの技術保護で成果を上げた企業に対し褒賞を行い、経営責任者(CEO)過程など、CEO教育課程を利用して営業秘密の教育や広報を強化する。

また、研究員などの従業員に対する正当な保証基盤の定着のため、職務発明補償制度の拡大を図る。

企業の規模・業種の特性を反映した「職務発明補償規定の標準モデル」を策定して配布し、職務発明補償の優秀企業に対して特許・実用新案・デザイン権の4~6年目の登録料を20%減免するインセンティブを与える。

国内外における競業体制の構築

産業部、中小企業庁、特許庁、国家情報院、警察庁など、政府省庁間の協力を強化する。

定期的に「産業セキュリティ協議会」を開催して韓国企業の営業秘密などの技術保護の支援政策や案を講じ、

技術流出の防止に向けた「ワンストップ支援サービス」の実施、営業秘密関連の共同教育など、産業部・中小企業庁・特許庁の支援事業を連携・推進することにより、利用における企業の利便性や効率性を高める。

また、営業秘密の流出被害が起きた企業と、政府省庁による共同懇談会を実施し、流出事例の情報共有、企業の要請事項などを聴取する。

国内における連携だけでなく、日中韓特許庁長官会合や、APEC会議などを活用して営業秘密の保護に向けた国際的な連携も拡大する。

キム・ヨンミン長官は、「創造経済の核心とされる技術の保護のためには、特許だけでなく、営業秘密の保護も重要だ。今回の対策により、企業の成長のネックとなる営業秘密の流出被害を最小限に押さえ、創造経済の実現に貢献すると期待している」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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