知的財産ニュース 「杖型アイスクリーム」特許の無効審決

2014年11月27日
出所: 韓国特許庁

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特許審判院は、「杖型アイスクリームの製造方法」に関する特許発明が、その出願前にネット上で公開されたため無効だと審決

特許審判院は、特許第1269215号の「杖型アイスクリームの製造方法」の発明について提起された無効審判(2013ダン1869)において、特許出願前に当該商品がネットにより公開されていたため、当該特許は無効だという審決を言い渡した。

ソウル市仁寺洞で「杖型アイスクリーム」を開発・販売していた特許権者は、2012.8.27.に特許出願して特許を受けたが、すでに出願前の2012.8.13.に「杖型アイスクリーム」を購入して食べた消費者が販売店に設置されていた公報パネルを撮影した写真をネット上のNaver Cafeに掲載していた。
従って、特許審判院は、上記の杖型アイスクリームの特許がその出願前に公開されたという証拠が明らかである以上、その特許登録を維持することができず、無効だという審決を言い渡した。

「杖型アイスクリーム」は、杖の形をしているとうもろこしのポン菓子で、空いているポン菓子の中にソフトクリームを注入して食べる食品で、ポン菓子とアイスクリーム両方の食感を楽しめるだけでなく、そのユニークな形によって老若男女を問わず好む食品だ。

今回特許登録が無効とされた「杖型アイスクリーム」は、数年前からソウル市仁寺洞の名物として知られ、国内・国外の観光客に人気を博している。釜山などの地域では、類似した商品が製造・販売されたことで、特許権者と権利紛争が発生したこともある。
※釜山および群山では、杖型アイスクリームの類似商品を製造・販売していた者と特許権者の間で権利争いが発生し、それに対する法院の不正競争行禁止仮処分が下された(不正競争防止および営業秘密に関する法律第2条第1号(ザ)目の「商品形態の模倣行為」に該当)。

技術内容の把握が容易な商品であるほど、事業化に先立って知的財産権の確保を急ぐべき

一般大衆を対象に販売されるお菓子などは、その技術内容を把握することが容易で、販売と同時に消費者によってネットなど公衆媒体に紹介されるケースが多く、「杖型アイスクリーム」の開発者もその市販に先立って特許出願を急ぐべきだった。
今回の特許無効事例の場合、特許出願より1カ月も経たない時期にとある消費者がネット上に載せた写真によって無効審決が下された。開発した商品を事業化するに当たって、その知的財産権をどのように確保するかに関する一層の注意が必要だったと思われる。
※また、今回の事例においては「杖型アイスクリーム」を食べた日本人観光客がその感想を帰国してからネット上に掲載したが、その日付も当該特許発明出願の直前だった。

また、「杖型アイスクリームの製造方法」の特許権内容は、方法的なものであり、その無効証拠は、商品の写真から分かる杖型アイスクリームの外形のみだが、結局、製造方法そのものが無効とされた。
これに関して特許審判院は、発明の技術的な性格によっては、その分野の通常技術者が当該商品の開示そのものから製造方法を容易に予測できるケースがあるが、「杖型アイスクリームの製造方法」がこれに該当すると判断した。

当該特許の関連内容:14112701.pdfPDFファイル

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