知的財産ニュース ビルの安全を守るBIM

2014年6月16日
出所: 韓国特許庁

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火災や不注意などによる事故が相次いでいることを受けて、施設の安全に関するデータを統合して事故を予防・管理する「ビルディングインフォメーションモデル(Building Information Modeling、以下BIM)」が注目を集めている。

BIMは、映画のコンピューター・グラフィックスのように、建設予定の家を3Dモデルに作り上げる技術だ。

映画と異なる点は、BIM上では家の建設に必要な全てのデータがすでに入力されていて、まとめて統合・管理されるという点だ。

階段に例えると、映画とBIMの階段は画面上では同じものに見えるが、BIMの階段は、階段数の合計、工事に必要なコンクリートや鉄筋などの価格、施工期間や老朽化に伴う買い替え時期、避難路・出入口までの距離などのデータが含まれ、予想の施工費用・期間、安全点検の次期、最適の避難路などの把握ができる。

つまり、BIMの広範囲なデータにより、施設の設計・施工から安全まで管理できる。

そのため、2006年の米国を皮切りに、欧州主要国ではBIMを義務化した。韓国は現在500億ウォン以上の公共分野の工事にBIMを義務付けており、2016年からは調達庁が発注する全ての公共分野の工事に適用する予定だ。

また、それぞれの国・都市を代表するランドマークはBIMを活用して建設中であり、韓国も世界最大級の非定型建築物として、今年3月に完工した「東大門デザインプラザ」にBIMを適用した。

特許庁(庁長キム・ヨンミン)によると、この4年間、建設分野のBIMに関する出願は2010年に72件、2011年に98件、2012年に120件、2013年に159件と、持続的に増加している。

分野別の割合は、施工(44.8%)、設計(25.6%)、安全(16%)、環境配慮型(13.6%)の順で、最も高い割合を占めている施工分野は緩やかな増加傾向にある一方、設計・環境配慮型分野の割合は減少傾向だった。特に注目すべき点は「安全」分野が最も高い増加幅(6.9%(2010年)→20.8%(2013年))を見せたということだ。

これはまず、「安全」分野で必須の3Dモデルと安全情報について、BIMを通じて容易に評価・管理できること、次に、コスト・時間の削減という単なる効率性の追求から脱して、「安全」を最優先とする災害予防および施設管理によってBIMの活用技術が進化していることの裏返しだ。

最近は、火災進行の予測および避難路の評価、避難ルールの検討自動化、災難の発生位置の確認および対応手続きの有・無線伝送、施設の安全維持に向けた老朽度チェック、買い替えの順位付け、コストの自動点検などの技術が特許出願されていることも特徴だ。今後、公共分野のみならず民間分野においてもBIMが義務付けられれば、安全管理技術の市場は一層拡大する見通しだ。

特許庁特許審査1局のチョン・セチャン局長は「最近、建設分野で安全管理に向けたBIM活用技術が災難予測、火災予防、避難管理および施設安全点検分野など、幅広く進化を遂げている。技術融合化の傾向により、最新のIT機器を利用して事故を予防・管理する技術と特許出願が活発になると見られる」と述べた。

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