知的財産ニュース ロシアと知財権協力に関する了解覚書を締結

2014年2月28日
出所: 韓国特許庁

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韓国特許庁は、2014年2月27日、ロシア特許庁と長官会合を開き、知財権分野の包括的な協力に関する了解覚書を締結する予定だ。今回の了解覚書は、ロシアの改革・開放への移行後、90年に動き出して大きな進展のなかった両国間の知財分野の総合協力を新たに拡大・発展し、昨年11月に開催された両国の首脳会談で議論された両国間の先端技術分野における総合協力のフォローアップの基盤を設けるという意味を持つ。

共同先行技術調査などの従来の協力分野だけでなく、両国が大きな関心を寄せているPPH(特許審査ハイウェイ)、特許情報の交換、伝統知識のDB提供及び知財権の教育分野における総合連携の強化などが盛込まれている。

具体的には、PCT-PPH協力で両国間の産業財産権出願増加が期待され、産業財産権データの交換を通じて両国の審査効率を高めることで、ロシアの特許情報を利用しようとする出願人のニーズに応えられる。また、伝統知識DBの提供を通じてロシア特許庁の審査官が約31万件ある韓国の伝統知識DBを積極的に活用できるようになると、韓国の伝統知識の国際的な保護基盤の拡大につながる。

とくに、ロシア知財大学の総長もこの場に参加し、両国間の知財権人材育成分野で緊密に協力していく。両国は、知財権専門家の相互派遣、知財権教育プログラムの交換など、知財権専門家の育成に向け共同で取組んでいく。特許係争が激しくなっているなか、ロシアの知財権大学との協力は、グローバル知財権専門家の育成において良いきっかけになるだろう。

そのほかにも、両国間の貿易の増加にともない、対ロシア特許出願が増加するとみられ、進出企業のロシア知財権制度の認識向上のためのセミナーを開催する案、ロシアの基礎技術と韓国の商用化技術の融合を支援できる知財権基盤を構築するための共同研究案なども議論される予定だ。

ロシアは、早くから知財権専門大学を設立(1968年)したほか、2012年WTO加入後には、知財権専門裁判所を設立(2013年2月)し、特許出願も増加するなど、知財権への関心と支援を増やしている。知財権分野では先進国だといえる韓国との協力のため、ロシア特許長官、知財権大学の総長などが大勢韓国を訪問したのも、ロシアの最近の知財権投資環境とも関係はあると考えられる。こうしたロシアとの了解覚書の締結は、両国間の友情と信頼を高め、知財権協力の幅を広げるきっかけになるだろう。

キム・ヨンミン長官は、「ロシアは世界7位の出願国であり、とくに基礎科学・基盤技術分野で強みを持っている。ロシアとの知財権分野における協力は、知的財産基盤の創造経済の実現戦略をかかげている韓国にもいいチャンスだ」と述べ、了解覚書の締結の意味にふれ、「今回の協力が最近ロシアで巻き起こっている韓流に、知財行政の韓流を足す足し算の協力になるよう、フォローアップに万全を期していく考えだ」とコメントした。

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