知的財産ニュース 韓国、バッテリー大国としての地位高まったか
2014年2月11日
出所: デジタルタイムズ
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米国のバッテリセパレート生産メーカーのセルガードがSKイノベーションに続き、LG化学にも特許訴訟を提起した。一方で、サムスンSDIとは長期供給契約を締結するなど、2次電池バッテリーの最大生産国とされる韓国市場の攻略に拍車をかけている様子だ。一角からは、セルガードのような攻撃的な市場攻略が実は会社の売却のための見せ掛けではないかという主張も出ている。
10日の外国メディアと業界によると、セルガードは、先月30日、米国ノース・カロライナ西部連邦裁判所でLG化学とLG化学の米国法人を対象に2次電池セパレートの特許侵害訴訟を提起した。これは、昨年5月、SKイノベーションを相手に提起した「586特許」訴訟と同一な内容だ。セルガードは、LG化学が自社の特許を利用したセパレートを搭載しバッテリーを生産して米国顧客社に提供したと主張している。
これに対しLG化学は、「オリジナルの技術であって、セルガードの特許を侵害する理由がない。全く違う方式の技術だ」と説明し、「セルガードの訴訟には全力で対応していく構えだ」と遺憾の意を表明した。業界の関係者は、「LG化学が米国のセルガードが提起した高価の長期供給締結などの無理な要求を拒絶すると、(LG化学を)圧迫するために特許侵害訴訟を提起した」と背景を説明した。
実際、外国メディアの報道や業界によると、セルガードは、同日、サムスン電子と4年の長期供給契約を締結した。だが、LG化学は、旭化成や東レなど従来の取引先をすでに持っていて、自社生産量も増やせいている状況のため、それを拒んだ可能性が高い。それにセルガードが訴訟で自社のセパレート購入を圧迫する戦略だという分析が業界から出ている。
業界ではまた、セルガードの今回の訴訟が売却に向けた「価値の水増し」戦略の一環だと分析している。市場調査機関B3の報告書によると、セパレート市場は、最近、旭化成と東レが円安基調に後押しされ市場でシェアを広げている反面、セルガードの親会社「ポリポア」は、昨年の目標値をはるかに下回る2012年水準の販売量を記録するなど、不振から脱していない。現地では、売却の可能性さえささやかれている。
セルガードが今回の訴訟で勝訴する可能性は低いようだ。業界の関係者は、セルガードの有している「586特許」は、バッテリーのセパレートにコーティングをするという基本概念は似ていても安全性だけを強化したものなので、当該技術を使えば、電極の移動が鈍くなるため、セルガードでさえ商用化しなかった技術だという。また、LG化学は2010年、米国ですでにバッテリー安全性強化セパレート(SRS)技術の特許登録を完了しただけに、セルガードの勝訴可能性は低いとみられる。
パク・ジョンイル記者
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