知的財産ニュース 遠隔医療に本腰入れ始めたサムスン

2014年3月11日
出所: 電子新聞

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サムスン電子のクォン・オヒョン副会長は、先月5日、株主に送った通信文に、サムスンの次世代成長エンジンの一つとして「モバイルヘルスケア」の育成を強調した。4ページに及ぶ通信文では、「顧客の「暮らしの質の向上」をはかるライフケア(Life Care)分野にスマートホームとモバイルヘルス支援と能力を集中している」と述べている。ITと医療を融合し新しい市場を創出しようとするサムスンの意志は、昨年11月に開かれたアナリストでーにもうかがえた。

サムスン電子が遠隔理療時代に備え、オリジナル技術の確保に本腰を入れていることが分かった。未来産業のために早い段階から技術力の蓄積に着手した様子だ。

11日の業界によると、サムスン電子は、遠隔医療に関する技術特許を出願したという。「ユビキタスヘルスケア環境でメディカルデータの非伝送リスクを緩和する方法及びシステム」というタイトルで出願されたこの技術は、センサーに伝達される医療情報を絶え間なく伝送するというのが中心内容だ。

サムスン電子が提出した請求項によると、「プライマリーゲートウェーの一部インタラプトの場合、シームレスしたメディカルデータ伝送を達成するため、プライマリーゲートウェーにより代替バックアップゲートウェーの選択を提案する」と述べられている。

患者に取り付けたスマート機器やセンサーで健康状態を定期的に感知し、診断サーバーが応急状況を予測すると、遠隔地にいる医者が応急措置を取る遠隔医療に活用できる技術だと評価されている。

サムスン電子は昨年2月20日、こうした内容の技術を特許出願した。技術開発自体はより前に行われたと推定される。サムスンが次の成長エンジンに相当な間力を入れてきたと解釈できる。

実際に、サムスン電子は、ITと医療技術が融合されたヘルスケア分野で出願件数が最も多い。韓国特許庁によると、サムスン電子が出願した関連特許は106件だ。これは、SKテレコム(93件)・韓国電子通信研究院(81件)・キョンブク大学(44件)・KT(43件)より多く、遠隔医療の直接の利害関係者となる大学の病院や通信キャリアより積極的だ。遠隔医療が導入されれば、市場開拓にサムスンがまず取組むと予想される理由だ。

ところが、現行法上では遠隔医療が違法になっているため、サムスンの関連技術が商用化されるかどうかはまだ不透明だ。韓国政府は、遠隔医療の導入を内容とした医療法の改正案の推進を掲げているが、医者協会は施行事業を通じて妥当性を検討した後に法案の改正を主張する立場で、遠隔医療の問題は平行線をたどっている。

ユン・コンイル

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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