知的財産ニュース ノキア、「当社はパテントトロールではない」

2014年9月28日
出所: デジタルタイムズ

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「ノキアがパテントトロール化すると言われているが、決してそうでない。特許に対するノキアの政策は、携帯電話を以前と以後が変わっていない。私たちは他社が開発したものを買い上げるのではなく、自社が開発したものに対する代価をもらっているだけだ。」

ノキア・テクノロジーのヤリ・ワーリオIPRディレクターは、フィンランドにあるノキア本社で「パテントトロール」として競合会社をけん制するのではないかという韓国記者団の質問に対して以上のように答えた。

ノキアのブランドは、携帯電話事業の崩壊とともに消費者の認知度も低下しつつあるが、依然として無視できない強力なパワーを備えている。特許があるためだ。1980年代半ばから2000年代後半にかけて携帯電話市場を席巻したノキアは、同期間のモバイルに関するR&Dの成果により、膨大な特許ポートフォリオを保有している。

ノキアが出願・保有した特許は約3万件で、その価値は500億ユーロに上るという。今年、特許使用料として上げられた収益だけでも6億ユーロ以上だと見られている。

ノキアの特許パワーは、携帯電話事業をMSに売却したことで本格的な恐怖の対象に化した。自社で携帯電話の製造はせず、特許技術のみ有しているため、その他メーカーに対する特許攻勢に有利なためだ。そのため、IT業界はノキアが事実上NPEと同じ事業構造となり、標準必須特許(SEP)を中心とした特許使用料を値上げする狙いがあるのではないかという懸念を示している。

ヤリ・ワーリオディレクターは、一般的なNPEとは異なって自社開発の技術に限ってライセンシング政策を維持しているため、NPEとは一線を画していると強調した。

これは、最近韓国公正取引委員会のノ・テレ委員長の発言を正面から否認したもの。ノ委員長は、あるコンファレンスにおいてノキアが「一部NPE」に等しいと述べ、過度な特許使用料により関連企業の足を引っ張っているという旨の発言をした。

ヤリ・ワーリオディレクターは、ノキア自社のライセンシング・プログラムを拡大し、他企業を支援し、今後開発される新規技術にも活用できる機会を模索するライセンシング哲学を確立したと説明した。また、新規特許を確保するための技術開発への投資も両立していると述べた。

ノキアの積極的な解明にもかかわらず、ノキアが特許を武器にグローバルIT産業を牛耳るおそれはある。ノキアが直接提起した特許訴訟は、2012年6件に増え、その翌年の2013年に1件へ急減した。その反面、ノキアが出願した特許に関する訴訟は、2013年に13件と急増した。これは、ノキアが出願して保有していた特許が直接または様々なルートを経てNPEに譲渡され、その特許を活用した訴訟が急増したということだ。

そのため、関連業界は公正取引委員会のノキア‐MS企業結合審査においても、迂回特許攻勢の活動を事前に防ぐ目的で他社に特許を一定期間譲渡を禁止する条件が盛り込まれると予想している。

キム・ユジョン記者

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