知的財産ニュース 「技術を備えた中国勢有機ELの浸透」・・・共同の特許戦略が至急

2014年10月14日
出所: 電子新聞

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次世代のディスプレーとして注目されている有機EL(OLED)市場において、中国の特許攻勢が続いている。中国は「世界の工場」と呼ばれた過去から脱皮し、量的・質的に有機ELの特許出願を拡大させつつある。そのため、韓国の有機EL素材‐パネル‐セット業者の間で共同特許を出願するなど、戦略的な対応が必要だとの指摘が出ている。

日本より恐ろしい存在となった中国、技術競争の序幕

今の中国IT企業は、単なる商品の模倣から離れ、技術競争が可能な水準になりつつある。「ニセモノのアップル」からサムスン電子に脅威を与える存在となった中国メーカーのシャオミがその代表的な例だ。冷蔵庫など白物家電の市場においても、高級型家電の販売量と売上高などを着実に伸ばしている。

有機ELの代表的な需要先であるテレビ市場は、スカイワース、コンカ、長虹などの中国勢メーカーが速いスピードで韓国・日本メーカーを追いかけている。

中国の有機EL素材分野に関する特許出願件数(4,160件)は、これまで量的に規模を拡大し、最近は質的な成長も遂げているとの評価。強い特許網を保有している出光興産と半導体エネルギー研究所は、中国特許庁にそれぞれ187件、127件の有機EL技術特許を出願し、中国市場を集中的に攻略している。

中国政府の支援もこうした傾向を加速化させている。競争国より速いスピードで素材‐パネル‐セット業者の垂直系列化を完成する可能性が高い。中国政府は第12次5カ年計画を通じて、来年を目処にディスプレーパネル自給率80%を達成するため、中国国内の業者を対象に税制優遇策や地方政府による共同投資など、全面的な支援を行う一方、輸入品に対する関税率は引き上げている。また、中国工業情報化部と広東省政府が有機EL産業試行団地を共同開発した。

韓国業界は素材‐パネル‐セット業者間の特許戦略が必要

それでも韓国の有機EL業界は、グローバル市場において競争力があると評価される。現在、素材‐パネル‐セット業者間でバランスの取れた環境を備えている国は韓国のみだ。有機EL市場は投資コストの負担が高いため、まだ投資余力がある上、確固たる顧客基盤がある先行企業が有利な立場にある。シェアが高く、セット業者とつながっている韓国企業が競争優位を占めている理由だ。

韓国特許庁は、中国など海外企業の特許攻勢に立ち向かうには、有機EL業界が特許獲得に向けた戦略的パートナーシップを構成する必要があるとコメントした。

特許庁関係者は「有機EL市場は、素材‐パネル‐セット業者間の相互協力が欠かせない。必要に応じては、中国との共同研究を進めるなどの国際協力も検討しなければならない」と述べた。

これまで韓国の素材産業が成長を遂げられたのは、自国内のパネル企業が貢献した部分が大きく、同時成長のためには相互協力が欠かせないとの説明だ。

さらに、有機ELの素材に関する物質特許を有しているというメリットを積極的に活用して特許出願を強化すべきだという。特許庁関係者は「政府や企業が長期的に一貫した政策を推進すると同時に、「ファスト・フォロワー」型を脱皮した先行的な対応戦略を立てる必要がある。場合によっては、素材業者とパネル業者同士でクロス・ライセンス戦略を構築して対応していかなければならない」とアドバイスした。

チョン・ミナ記者

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