知的財産ニュース ノキア、迂回訴訟戦略でパテントトロールに変身

2014年4月8日
出所: 電子新聞

4571

スマートフォン市場での巻き返しが難しくなったノキアの切り札が出た。スマートフォン製造から手を引き、迂回戦略を通じた攻撃的なパテントトロール(NPE)に変身するという戦略だ。

特許分析専門企業の廣開土研究所が分析した「ノキア、超強力なNPE変身戦略」によると、ノキアが直接提起した特許訴訟は、2012年6件に大きく増えた後2013年には1件に急減した。

一方、ノキアが出願した特許を利用した訴訟は、逆に2013年に13件に増えた。これは、ノキアが出願して保有していた特許が直接、または諸経路で特許管理会社に譲渡され、これを活用した訴訟が急増したことを意味する。

同研究所のカン・ミンス代表は、「ノキアが特許の迂回戦略(Patent Privateering Strategy)を取っている。本社ではなく、第3者を通じて競合会社を攻撃することで収益化を図っている」を説明した。

ノキアの特許攻勢は、2013年を機に、全方位的に行われている。ノキアが出願した特許による訴訟は計29件で、全て特許管理会社が介入している。

ノキアキャピタル(Nokia Capital)が保有していた28件の特許は、現在、ノキアと密接しているNPEと推定されるモバイルメディアアイデアーズ(MobileMedia Ideas)に譲渡されている。モバイルメディアアイデアーズは、譲渡された特許でアップルに1件、HTCに2件、リム(Research in Motion)に2件の訴訟を提起した。

ノキアがパテントトロールの本能を露にしたとすれば、グローバルITメーカーを巻き込んだ広範囲な訴訟合戦が繰り広げられる可能性もある。

ノキアが現在保有している特許引用の回数が、ここ5年間急増しており、クアルコム、シスコ、インテルなどのグローバル企業だけでなく、韓国のサムスン電子とLG電子も引用が急増しているためだ。

これは、ノキアが保有した特許ポートフォリオにロイヤルティを支払うか、ライセンス対象者はノキアの特許の獲物になる可能性が高いことを意味する。

カン代表は、「ノキアが超強力な特許管理会社に変身するのは避けられない。直接の特許訴訟よりは、ノキア特許が第3者に譲渡される事例を持続的なモニタリングが必要な時だ」と指摘した。

図:Nokiaが現在保有している特許の引用トレンド

表:訴訟の原告と年度別件数

図:Nokiaの出願特許が使用された訴訟(Nokiaの直接提訴は除外)

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195