知的財産ニュース LG化学-SKイノ、「3年間の特許紛争」に終止符

2014年11月4日
出所: デジタルタイムズ

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LG化学とSKイノベーションが未来の成長エンジンといわれる電気自動車向けバッテリー市場の育成に合意した。米国など海外企業による特許訴訟が相次ぐ中、韓国バッテリーの存在感を高めるためのグローバル共同戦線を構築する基盤が作られた。

SKイノベーションとLG化学は、電気自動車向けバッテリーの中核素材であるセパレータ製造技術に関する特許訴訟を終結することにした。

両社はこれに関して、「各社の長期的な成長と発展に向けて2011年から進めてきたセラミックコーティングのセパレータに関する特許に関する全ての訴訟と紛争を終結し、その内容を盛り込んだ合意書を作成した」と述べた。それによって両社はそれぞれ特許審判院と特許法院に係留中にある特許無効審判などをいずれも取り下げた。

両社は合意により、今後10年間国内・国外において争っているセラミックコーティングに関する特許侵害禁止および損害賠償請求・特許無効訴訟を提起しないことを明示し、両社間におけるビジネスのシナジー効果を創出するほか、協力の拡大に向けて取り組むことにした。

リチウムイオン二次電池のバッテリーにおいてセパレータの役割は大きい。セパレータは、接触すると発熱や爆発などのおそれがある正極材と負極財を隔離すると同時に、気孔を通してリチウムイオンを円滑に移動させる。そのため、バッテリーの性能および安全性を決定する主な競争力の一つとされている。LG化学は、電気自動車向け中型・大型バッテリー業界において世界トップを占めており、SKイノベーションもセパレータ市場で世界2位規模となっている。

業界では今回の合意により、最近相次いでいるグローバル特許紛争において韓国企業が優位を占められるきっかけになると期待している。業界によると、リチウムイオン二次電池のバッテリー分野において韓国勢のシェアは4割に近く、日本を抜いて国別シェアでトップを占めている。そこで、二次電池セパレータメーカの米セルガードは、昨年、SKイノベーションにセパレータの特許侵害禁止を要求しているほか、今年初めにLG化学を相手取って同様の訴訟を提起している。

しかし、業界ではセルガードの特許がセパレータに対するコーティングがあるのみで、リチウムイオンが循環する気孔に関する内容は含まれていない上、今回の合意により、SKイノベーションとLG化学がグローバル訴訟について共同戦線を張ることもできるため、韓国勢バッテリーの技術力と存在感が一層高まると見通している。

パク・ジョンイル記者

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