知的財産ニュース 韓国の技術貿易、OECD最下位の赤字国

2014年5月26日
出所: 電子新聞

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韓国の情報通信(ICT)産業の輸出額が過去最高値を更新し続けている中、技術貿易では、慢性的な赤字を背景に経済協力開発機関(OECD)の加盟国の中で最下位となった。未来の潜在成長率の下落につながらないよう、輸出とともに、技術貿易収支の改善にも力を入れるべきだと指摘されている。

未来創造科学部と科学技術政策研究院(STEPI)が作成し、26日に発表した技術貿易統計によると、韓国は、技術貿易収支額が2012年ベースで57億4100万ドルの赤字となった。収支比率は0.48で、外国から10の技術を導入したところで、技術は5も輸出できなかったことを意味する。

OECDが2011年データに基づいて2013年の初めまでにまとめた統計では、韓国の技術貿易収支は、31カ国のうち、最下位の31位となった。上位3カ国には、米国、日本、イギリスがランクインされ、技術貿易先進国の地位を堅持した。OECD全体の2012年度における統計は、まだ反映されていない。

同期間の技術貿易の規模は163億6300万ドル、輸出額53億1100万ドル、導入額110億5200万ドルとなった。技術輸出額が前年度の40億3200万ドルより、31.7%増加して最高値となったが、赤字幅は依然として高水準になっている。技術貿易の収支比率は、0.41から0.48に改善された。過去最高値の輸出額を更新しながらも、赤字から脱せられない格好となった。

大手企業と電気電子産業が技術輸出をリードしたが、技術導入が輸出を上回った。大手企業は、全体の技術輸出額の75%に貢献したが、技術導入額では、それより多い91.7%を占めた。電気電子産業は、全体の技術輸出額の38.2%を輸出したが、同じく技術導入額は58.8%になった。

韓国の貿易構造が大手企業・電気電子産業が中心となっていることを踏まえると、貿易規模が大きくなるほど、技術貿易で不利になる。

韓国貿易協会傘下の国際貿易研究院がまとめた「創造経済の実現に向けた技術貿易のあり方」という報告書では、技術貿易の拡大の妨害要素として技術革新予算の不足と不十分な中小企業の支援、コア科学技術の人材需給のアンバランス、技術開発及び商用化に向けた支援体系の不足、不十分な科学技術インフラなどをあげた。

特許件数は増えた一方、コア・オリジナル特許など、質の高い成果の創出が不十分だった。技術導入額のうち、40億5500万ドルが特許使用権として支払われ、最も高い割合(36.7%)を占めた。今年から技術貿易統計の作成を始める産業技術振興協会の関係者は、「素材部品分野などでオリジナル技術が不足していることが背景」と指摘した。

昨年、この統計の作成に参加したSTEPIの関係者は、「技術も技術だが、産業構造全体の問題として把握しなければならない。商品貿易中心の成長パラダイム全体にかかっている問題」だと述べた。

ソン・ジュンヨン記者

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