知的財産ニュース 輸出中小企業のための国際知財権トラブル対応総合対策が発表

2013年11月21日
出所: 韓国特許庁

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韓国特許庁は、2013年11月20日に開催された第26回経済関係長官会議において「輸出中小企業のための国際知財権トラブル対応総合対策」を関係部署の合同で上程・確定した。

今回の案件は、トラブル事例を分析し、1)輸出の進行段階別・国家別に合わせた支援、2)中小企業の知財権保護能力の強化、3)知財権保護基盤の構築という3つの課題の対策を確定した。

輸出の進行段階別・国別に合わせた支援

先進国への輸出を準備している企業の場合、展示会に参加してトラブルに遭ったケースが多いと分析された。実際に、韓国の中小企業B社は、欧州進出のために展示会に参加したが、競合会社の妨害により撤収された。
こうした状況を回避するためには、展示会の参加企業を対象に事前の説明会を開催し、現地の展示会に弁護士を常駐させ、トラブルとなった場合、企業が素早く初動対応できるよう支援する。
また、輸入会社が輸出予定の製品について特許トラブルの可能性の検討を求める「特許保証」に対応するため、相手会社の特許を分析する国際知財権トラブルのコンサルタント規模を約1.4倍に拡大する予定だ。

先進国に輸出を行っている企業は、特許管理会社(NPEs)とのトラブルが多発していることから、米国での訴訟現状をモニタリングして訴訟された企業に知らせる「NPEs訴訟のお知らせ」サービスを実施し、共同訴訟された企業同士で協力枠組みを構築させ、教育などの支援を強化する。

途上国への輸出を準備している企業は、商標の無断先登録によるトラブルが多発している。中小企業のC社は、タイへの輸出を考えていたが、現地の人が無断で先登録して現地のエージェントから輸入・販売を拒否された。

こうした問題を回避するため、海外登録された商標情報の提供を拡大し、海外のオンラインで流通されている模倣品を定期的にモニタリングして韓国企業が販売サイトの閉鎖などの措置が取られるように支援する。

また、途上国に輸出を行っている企業は、模倣品・違法コピーなどによるトラブルに苦しんでいて、製造工場などを対象に調査を行う「侵害調査事業」を拡大するほか、海外の著作権センターを現地の拠点として活用する「現地進出企業インキュベーター」を実施する。

知財権保護の能力を強化

知財権のトラブルが発生した場合、訴訟費用の一部を補償する知財権訴訟保険を活性化するため、支援規模を約1.4倍拡大する予定で、海外における権利確保に向けた出願費用及び資金貸し出しの支援、投資情報、知財権情報を総合提供する「総合貿易情報適用セミナー」を実施する。

中小・中堅企業の警告状への対応力を向上させるためには、約110社の専門家による「トラブル対応諮問団」を構成して警告状の法的効力の判断、対応方向など初期段階における対応の諮問を支援する。

一方、外国企業との訴訟対応力を高めるため、知的財産権ファンドを活用する案とともに、仲介緊急機関を通じて訴訟費用を低金利で貸し出しする案が設けられた。
KDB産業銀行が運営する知的財産権ファンドは、1000億ウォン規模で、韓国企業が保有している特許をファンドに売却し、専用実施件を確保する代わりに、ファンドと投資企業間で別途契約を結んで、訴訟をファンド面から対応できるようにする。

また、韓国政策金融公社が仲介金融機関を通じて支援するオン・レンディング方式取引は、輸出企業、または優秀な知的財産を保有している企業など、支援資格や企業の事情に応じて、訴訟費用などの運用資金を1件当たり最大60億ウォンまで支援する。

知財権保護の基盤構築

韓国政府は、知財委、文化体育観光部、特許庁などの知財権関係部署で構成した「政策協議会」を運営し、部署間の協力案を話し合ってトラブルは多発している技術分野の団体と協力体制を構築するなど、企業密着型支援を強化する。

また、海外知識財産センター(IP-DESK)の設置地域を中心に、現地に進出した企業団体と協議体を構成して建議事項や問題点などを聴取し、該当国の政府に伝える。

海外の現地における著作権保護活動を強化するためには、海外文化院内に著作権専門館の派遣を拡大する予定だ。

キム・ヨンミン長官は、「知財権はほかの契約要件とは違って、特許保証などの問題が解決されなければ、輸出交渉が直ちに中止されるほど重要な要素で、現場では「Show stopper」と呼ばれている。今回の対策を通じて知財権トラブルの被害を最小限にすることで、創造経済の下で生まれたわが国製品の輸出拡大に貢献すると期待している」とコメントした。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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