知的財産ニュース 電力問題 エコ志向の冷房技術で備えよう

2013年6月24日
出所: 韓国特許庁

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新再生エネルギーを利用したガス・蓄冷式の冷房施設技術の開発が積極的に

地球温暖化による気候変動の影響で、夏が例年より暑く、長くなっているなか、一部の原子力発電所の稼働中止が追い打ちをかけ、今年は、未曾有の電力問題が発生すると懸念されている。こうした状況で、電力需要の24%(1776万KW)が冷房に利用されるだけに、電力ピーク時間帯に冷房電力の需要を低減させることが重要となっている。

韓国特許庁によると、電力ピーク時間帯に冷房電力の需要を減少させる冷房施設に関する特許出願が急増しているという。最近の5年(2008~2012)間の出願件数は、363件と、前の5年(2003~2007)の出願件数は230件より57%も増加した。これは、電力予備率が10%を下回り始めた2007年以降から、電力需要を減少させる冷房施設に関する技術開発が本格化した結果だと分析される。

こうした電力ピークを緩和できる冷房施設には、ガス式と蓄冷式があるが、ガス式は、ガスの燃焼熱で冷房施設を駆動させる技術で、一方の蓄冷式は、電力予備率が高い時間帯の電力を用い、冷却した水をピーク時間帯に利用する技術だ。ガス・蓄冷式の冷房施設の中には、太陽熱・地熱・廃熱などの新再生エネルギーを補助駆動エネルギーと結合されたものが含むまれるが、こうした環境配慮型冷房施設は、電力ピークをさらに効果的に緩和できるため、最近注目が集められている。

最近の5年間(2008~2012)の出願を分析すると、全体の36%(131件)をガス・蓄冷式が占め、その割合が高く、2003~2007年に比べた出願増加率も162%に達し、全体の増加率57%により、遥かに高いことは確認された。これは、環境配慮型冷房施設に関する技術開発が最近集中的に尾紺割れていることを示す。

しかし、普及率では、全体でガス式冷房施設が占める割合は12%で、日本の23%の半分の水準に過ぎず、蓄冷式の冷房措置もその普及率は、日本の4分の1水準に止まっている。また、公的機関の建物の新再生エネルギー利用義務化制度の施行により、環境配慮型冷房施設の普及が増加しているが、その代替効果は大きくないと推定されている。

最近、特許出願件数が増加しているにもかかわらず、電力ピークを十分に減少できるほどこの技術が普及されない理由は、施設の大型化・複雑化により、電気式に比べ、設置・運用コストの面でメリットが少ないからだと調査された。

政府は、補助金を支援し、コストの負担を減らせ、大型ビルを中心に普及拡大を図ってはいるが、普及をさらに加速化させるためには、技術開発を通じて、施設自体を小型化し、簡単に設置できるようにする一方、施設の効率性を画期的に向上させ、経済性を確保することが求められている。

特に、冷房を使うときに発生する温室効果ガスを減らすことは、地球の当面の課題となっているため、新再生エネルギーを通じて温室効果ガスの排出を最小限にとどめ、エネルギーの大体による経済性も確保できる環境配慮型冷房施設の技術開発と、その普及の拡大が切実に求められている。

韓国特許庁でも、出願した特許が「環境配慮型冷房施設に関する出願」として認められた場合、「ハイウェイ審査制度」を通じて早期に特許として権利化できるよう、制度的な枠組みを設けて支援を行っている。

環境配慮型冷房施設に関する研究開発と特許の権利化、及び政府の政策的な支援が好循環・融合する環境が構築されることで、毎年繰り返される電力危機も賢く克服できるだろう。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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