知的財産ニュース 売上10億ウォン以下の中小企業も特許紛争に露出

2013年4月25日
出所: 韓国特許庁

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韓国特許庁は、4月24日、産業・業種別に特化した知財保護政策を策定するため、業種別の団体と「知財権紛争対応協議会」を発足した。

協議会の発足は、業種別に紛争の特徴が相違しているという分析※の結果を反映したものだ。
※韓国知識財産保護協会が保有している最近6年間の韓国企業の国際特許訴訟とコンサルタント事例に基づいたもの

企業の売上高ベースでは、特許紛争が始まるいわゆる「紛争進入線」で医薬品の場合、約270億ウォン規模だが、半導体、デジタル通信分野は10億ウォン以下の企業も紛争の対象になっていた。

紛争が始まる時期も大半の産業分野が海外市場に輸出し市場シェアが安定化する段階で発生していたが、化学・医薬分野は、輸出前の市場参入段階で多く発生している。

また、韓国企業を対象に特許攻撃を行う企業を分析した結果、化学、バイオ、機会素材の場合、同種企業の競合会社の割合が、情報通信と電気電子は特許管理会社の割合が高くなった。

そのため、韓国特許庁は、産業・業種別に特化した対応戦略を設けるほか、韓国企業の紛争状況をリアルタイムで把握するため、主な紛争分野の業種別団体とともに、知財権紛争対応協議会を発足した。

紛争対応協議会の発足を通じ、業種別の団体は、知財権担当者を指定して政府と定期的に紛争情報を共有する。

知財権担当者は、所属企業の紛争状況に関しての調査に協力し、政府に企業のニーズや建議事項などを伝え、政府がより現実的かつ実用的な知財権保護政策を策定することに貢献する。

また、韓国特許庁は、知財権紛争において、大手-中小企業、または、同種企業間の相互成長を実現するため、業種別団体の企業協議体に対する教育などの支援を強化する。

実際に韓国特許庁は、2012年4月、情報通信分野の企業協議体を試行発足して紛争解決のための共同研究を行い、回避設計などを確定し行儀対企業の海外輸出市場の進出拡大に貢献した。

韓国特許庁産業財産保護課のイム・ジェソン課長は、「今回の協議会発足を通じ、従来の政府・企業間のトップダウン方式の支援から脱し、政府と業種別の団体間で相互コミュニケーションのできるシステムを構築できるものと期待している。それに基づいて業種別の特徴を考えた知財権保護政策を積極的に策定し、韓国企業が国際的な知財紛争に適切に対応できるようにし、結局、知的財産基盤の想像経済の実現に貢献していくだろう」と述べた。

参考:韓国企業の国際知財権紛争の現状分析

1.Who?

最近6年間(2007~2012)、韓国企業と外国器用間の特許訴訟は、計1,226件で、そのうち外国企業が韓国企業を提訴した場合は、970件(79.1%)、韓国企業が外国企業を提訴した場合は256件(20.9%)だ。
その1,226件のうち、競合会社との紛争は765件(62.4%)で、特許管理会社との紛争は461件(37.6%)だ。-化学・バイオ・機械素材分野では、競合会社による提訴が、電機電子・情報通信分野では、特許管理会社による提訴の割合が高い傾向がある。

2.Whom?

各産業別に紛争が始まる最小企業の規模が異なっており、特に半導体・デザイタル通人分野では、売上高10億ウォン以下の比較的規模の小さい企業も紛争の対象となっている。

図:競合会社と特許管理会社の提訴の割合グラフ(2007~2012)、産業別の紛争進入線グラフ(売上高ベース)

3.Where?

訴訟が発生する裁判所の所在地をベースに分類した場合、韓国の輸出相手国2位の米国で発生した特許紛争の件数が最も多い。
中国における紛争件数は少ないが、最大輸出先であることを踏まえた場合、紛争可能性が高いほうだと言える。

図:地域別における輸出規模比の特許紛争件数グラフ(2007~2012)、営業段階別の紛争発生件数グラフ(2010~2012年紛争対応コンサルタントを受けた企業)

4. When?

企業が製品を市場に発売した後、安定的に輸出や納品を進める市場安定化段階において紛争の発生が最多している。
ただ、化学分野の場合には、市場進入を準備する段階において発生率が高い。
これは、製薬分野の場合、市販許可を得るまで、その手続き状況を競合会社の市場進入を認知しやすいという特徴によるものだと分析されている。

5. How?

かつての外国企業の紛争タイプを類型化すると、中小企業の場合は、市場進入の放棄や交渉を求め、売上高の規模が大きい大手企業は、訴訟を通じて対抗する傾向にある。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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