知的財産ニュース 半導体産業の第2の飛躍 中小の知財権経営支援

2013年5月31日
出所: 韓国特許庁

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韓国特許庁 半導体業界の中小・中堅企業の最高経営責任者と朝食懇談会を開催

韓国特許庁は、30日、ソウルで「半導体業界の中小・中堅企業の最高経営責任者との朝食懇談会」を開催した。

今回の懇談会では、中小・中堅企業の知財権競争力の強化を支援するため、業界の意見を聴取し、さらに半導体産業の第2の飛躍を実現に向けた知財権中心の環境構築策を議論するために設けられた。

韓国特許庁長と韓国半導体産業協会の副会長、半導体中小・中堅企業10社の最高経営責任者が出席したこの場には、各機関の実務者など、約20人が参加した。

半導体は、2012年ベースで韓国輸出の9.2%を占め、主力産業としての役割を果たしている。国内企業の海外進出増加につれ、特許管理会社などの外国企業との知財権紛争も増えている。大手企業は、知的財産専門組織を保有するほか、特許障壁の構築などの独自対抗策を講じているが、中小企業は、人材とコストの負担により、対応力が不足しているのが現実だ。

そのため、韓国特許庁は、国内企業の知財権紛争の対抗力を強化するため、4月24日、「業種別の団体間知財権紛争対抗協力枠組みを構築して運営中にある。今回の懇談会は、この協力枠組み構築のバックアップとして、韓国半導体産業協会とともに、業界の紛争対抗力の支援をはじめ、総合的な知財権強化策を議論するために設けられた。

現場からは、「パテント・トロール」と呼ばれる特許管理会社との特許訴訟を政府が支援すべきだという意見が多数だった。キム・ヨンミン特許庁長は、「企業は、特許管理会社に対するモニタリングの強化、特許ポートフォリオの構築などの取り組みが必須だ」と強調し、「韓国特許庁としては、関連同行の報告書の発刊、コンサルタント、訴訟保険、海外IP-DESKの運営などを通じて中堅・中小企業を支援していく考えだ」と説明した。

そのほかにも、知的財産専門家の育成、知財権中心のR&D事業の効率性の向上、中堅・中小企業の特許維持費減免など、様々な要請が続いた。韓国特許庁の関係者は、これを政策に反映し中小・中堅企業の知財権競争力を強化するための具体的な取り組みを設けるうえで利用する計画だと答えた。

キム特許庁長は、「創造経済時代を向かえ、半導体の中小・中堅企業の知財権競争力の強化が第2の飛躍のきっかけになるだろう」と知財権経営の重要性を強調し、「これからも韓国特許庁は、企業の知財権競争力の強化に向け、現場の声にさらに耳を傾けたい」と述べた。

資料1:2000年以降、半導体分野における韓国企業の国際的な特許紛争の動向

特許紛争の現状

2000年では、国際特許紛争が1件にすぎなかったが、半導体素子や設備関連の紛争増加の影響により、2005年には10件に増加

2000年代における半導体分野の国際特許紛争の発生件数

発生年度

LSI

LED

設備

合計

2000

1

0

0

1

2001

0

0

0

0

2002

2

1

1

4

2003

0

0

0

0

2004

1

0

3

4

2005

4

1

5

10

2006

0

2

0

2

2007

2

0

1

3

2008

4

3

2

9

2009

4

2

2

8

2010

4

0

4

8

2011

6

6

0

12

2012

0

2

0

2

合計

28

17

18

63

2008年以降、毎年10件前後、海外企業との特許紛争が発生しており、中小・中堅企業の割合が高いLEDや設備分野の増加が著しい。
2011年には、特にLED関連の紛争が急増したが、これはLED照明とLCDテレビのバックライト市場の競争が激化したためだと分析される。

2000年代における半導体分野の国際特許紛争の動向

資料2:2013年現在、半導体の中小・中堅メーカーにおける知的財産権専門組織の保有状況

調査の対象

韓国半導体産業協会の加盟社のうち、設計や半導体設備分野の中堅・中小企業156社(大手企業は対象外)

知財権専門組織

対象となったメーカーの大半は、知的財産専門組織を保有していないことが分かった。
中小企業の場合、企業の中に知的財産専門組織を置くよりは、弁理士事務所などに外注する形をとっている。

韓国半導体メーカーの知的財産権専門組織保有の状況

区分

保有(%)

保有していない

(企業数)

合計

小企業

設計

0 (0%)

51

51

設備

0 (0%)

20

20

合計

0 (0%)

71

71

中企業

設計

1 (5.9%)

16

17

設備

6 (10.0%)

54

60

合計

7 (9.1%)

70

77

中堅企業

設計

0 (0%)

1

1

設備

2 (28.6%)

5

7

合計

2 (25.0%)

6

8

合計

設計

1 (1.4%)

68

69

設備

8 (9.2%)

79

87

合計

9 (5.8%)

147

156

図:韓国半導体メーカーの知的財産権専門組織保有の状況グラフ

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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