知的財産ニュース ID、1000億ウォン投資に収益は10億ウォンにとどまり

2013年10月13日
出所: 電子新聞

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政府の公的予算が組み込まれた韓国の知的財産専門企業「インテレクチュアル・ディスカバリー(ID)」の収益モデルに対し見直しを求める声があがっている。韓国特許庁が手数料として受け取った数百億ウォンの超過収入まで投じる計画だが、「焼け石に水」だという指摘もある。

産業通商資源委員会のウ・ユングン議員(民主党)が国政監査用にIDに要請した資料によると、先月まで特許ライセンシング(技術料)として受け取った収益は10億ウォンに過ぎないことが確認された。2011年の技術料収入は、ほぼゼロに近い。

IDは、国際特許紛争において韓国企業を保護し、新たな知財ビジネスモデルを提供するため2010年に設立された。2011年から年間315億ウォン(平均額)の公的資金を注入してアイデア・発明事業化に投資する創意資本基盤構築の事業費として使用されている。

公的資金が毎年、数百億ウォン投じられているが、収益は創出できず、IDの事業モデルに疑問が適されている。IDは、2011・2012年にそれぞれ63億ウォン、79億ウォンの当期純損失となった。ウ議員は、「収益性のない特許管理会社に公的資金を投じ続けるのも問題だ。IDがNPEとしての競争力を備えているかを見直す必要がある」と述べた。

先月、韓国特許庁が特許手数料として受け取った超過収益230億ウォンをIDに投じることも問題とされた。産業通商資源部の予算をIDに投資することに負担を感じて責任運営機関の特許庁まで巻き込むのではないかという指摘だ。

ウ議員は、「企画財政部と産業部は、協力モデルだと主張しているが、特許庁としては運営予算を奪われることになる。創意資本構築のめどは2015年だが、現在では、公的予算が長期的に組み込まれることになる」と予測した。IDの創意資本は、計5000億ウォンを目標としているが、現在まで3501億ウォンがつくられた。

IDは、守り方NPEモデルだ。特許プールを構築して加盟社に会費を受け取り、特許ライセンスと紛争をコンサルタントする。現在まで、特許約3800件を確保しており、加盟社は27社程度だ。NPE事業は、特許の買収のため、初期の収益創出が難しい。

ところが、公的予算のため、特許の買収資金が十分なのに収益がないのは、韓国市場でNPEモデルが合っていないためだという指摘も出た。政府関係者は、「韓国では、特許ライセンスと紛争のコンサルタントで収益を上げられるほどの市場はまだ形成されていない。NPEは、結局、訴訟を通じた収益創出モデルを考えるべきだ」と指摘した。

IDは、「追加の収益モデルで、ID特許プールを無断で使用している外国企業を対象に訴訟を提起し、ライセンシングする攻撃モデルを考えている」と説明した。一角では、公的予算の投入による「国際貿易紛争」がネックになる可能性を指摘した。

クォン・ドンジュン記者

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