知的財産ニュース リチウム2次電池の特許動向

2013年9月2日
出所: 韓国特許庁

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1991年初めて市場にリチウム2次電池が登場した以来、携帯用の電子機器(IT)の移動向け電源として毎年10%以上の成長率を維持し、xEVとして表現される次世代電気自動車(HEV, PHEV, EV)及び知能型電力網などに利用される電力貯蔵装置(ESS, Energy Storage System)産業の活性化に貢献すると期待されているなか、リチウム2次電池は、こうした次世代技術を実現するためのコア部品として市場が拡大されつつある。

リチウム2次電池技術は、陽極(cathode)、負極(anode)、電解質(electrolyte)、セパレートで構成される4大コア素材と、電池を構成するための部品及び電池管理システム(BMS、Battery Management System)の技術で区分される。

韓国特許庁の資料によると、この10年間国内におけるリチウム2次電池関連の出願件数は、6318件と、国内出願人による出願が4400件で69.6%を占め、残りの1918件(30.4%)は海外の出願人の出願件となり、年平均10.2%の増加率で出願がなされている。

細部的には、コストの多くを占める陽極関連技術が2131件で33.9%とシェア率が最も高く、負極は19.1%、電解質14.2%、セパレート12.3%で、電池製造技術も14.8%を占めている。

多出願企業は、LG化学とサムスンSDIが45%以上を占めており、その次はパナソニック/三洋(合併)、ソニー、豊田の順と調査された。リチウム2次電池のコア素材を生産する韓国の中小企業(韓国電子産業協会、加盟社は23社)が3.0%のシェア(1社当たり1年間0.7件出願)を占め、特に韓国の中小企業の競争力が脆弱であることがうかがえた。

これまでの韓国のリチウム2次電池産業は、先行する日本を追い抜くため努力し、日本企業の市場支配力を弱めてきたが、今後は、豊富な廉価の原材料をもとに、著しく成長している中国企業との競争が深刻になると見込まれている。

中小の素材企業の技術水準が向上されると最終製品の競争力も高められるだけに、特に中小の素材企業に向けた研究開発支援について政府や大企業の関心と投資が求められる。

この10年間におけるリチウム2次電池の特許出願動向(2003~2012)

主な技術別の出願割合

出願順にトップ5と中小メーカー(23社)の出願率

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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