知的財産ニュース 知的財産権の赤字、50億ドルに迫る

2013年7月21日
出所: 電子新聞

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技術集約型IT関連品目の輸出が増加するとともに、海外へのロイヤリティー支払いも増え、韓国の知的財産権における収支の赤字幅が広がっている。

韓国銀行によると、韓国の知的財産権収支赤字規模は、昨年49億5000万ドルとなった。 2010年の赤字規模は、58億9000万ドルまで拡大し、企業のR&D投資増加と特許クロスライセンス締結の拡大などを背景に、2011年には、29億6000万ドルに縮小された。だが、昨年は、IT関連品目の輸出が増え、知的財産権による収支は、事業サービスと旅行収支の次に韓国のサービス収支を悪化させる要因となった。


知的財産権による収支の推移-韓国銀行

知的財産権による収入は、2009年以後から30億ドル水準を越え、2011年には、43億4000万ドルとなった。これは、外国企業とのロイヤリティー契約を結び、収益を上げている韓国ゲームメーカーの知的財産権収入が底上げの背景だ。

業種別に分析すると、自動車は黒字を記録したが、電機・電子、卸小売、出版・映像・情報など、大半は赤字となった。先端技術の海外への依存度が高い電機・電子分野は、知的財産権収入と支出ともに最も高くなっている。

最近、Kポップなどの韓流が世界的に拡大し、オンラインゲーム、音楽、ドラマ、映画などの文化コンテンツによる収入が大幅増加している。2010年3億4000万ドルから2011年6億8000万ドル、昨年には8億ドルを記録した。

地域別では、オリジナル技術をもっとも多く保有している米国、EU、日本を相手には赤字を、海外生産工場が集中している中国と東南アジアでは黒字となった。知的財産権による収入は、中国、米国、東南アジアの順で、大半が韓国企業の海外直接投資比率が高い地域だ。

米国と日本、フランスなどとの技術先進国における知的財産権による収支は、大幅黒字を記録したが、中国とは、赤字幅が大きくなっている。 最大の黒字国である米国は、2011年、842億2000万ドルの黒字を記録した。

韓国銀行は、知的財産権収支の改善のためには、独自技術の確保、知的財産権に強い中小企業の育成、知的財産権の市場活性化が求められると述べている。韓銀経済統制国国際収支チームのノ・チュンシクチーム長は、「政府による基礎・応用研究開発への投資の拡大と、高い技術力に比べ、知的財産権の管理能力がぜい弱な中小企業への支援を強化しなければならない。国内企業と研究機関などが保有している知的財産権でプールを形成し、必要な時に知的財産権を売買、またはライセンシングなどを仲介する専門会社(NPEs)を活性化する必要がある」と強調した。

キル・ジェシク記者

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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