知的財産ニュース 海外進出した中小企業、知財の悩み増えた

2013年2月13日
出所: 電子新聞

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中国に進出した通信ケーブルメーカーA社は、自社の特許と同様の商品が流通されていることを発見して「知的財産-デスク」に依頼した。弁理士に鑑定を依頼した結果、侵害だと判断されて販売の差し止めと賠償を求めた。その結果、A社は賠償金で80万元を受け取り、侵害したメーカーから「これ以上販売しない」という覚書ももらった。

ベトナムに進出した電線メーカーB社は、現地の税関で輸入差し止めの命令文を渡された。現地のメーカーが既に同一商標を勝手に登録したためだ。ベトナムの「知財-デスク」は、無効審判請求を推進したが、勝訴の可能性が低いという結論を出した。現地に商標が登録されているかどうかを確認しなかったB社は結局、輸出を諦めた。

これは、「海外知財-デスク」が行った相談と措置事例だ。韓国特許庁・韓国知識財産保護協会・KOTRAが共同で中小企業の知財対応力を強化するために運営している「知財-デスク」は、中国・タイ・ベトナム・米国・インドネシアに設置されている。中国とベトナムは、それぞれ5か所と2ヵ所がある。知財の悩み相談や侵害・被侵害の対応戦略の確立を支援する。相談事例は、毎年大幅に増加している。2009年1468件から2010年(2670件)、2011年(3848件)と毎年1000件以上増えた。昨年は6198件で60%も増加した。

中国をはじめとする東南アジアと米国は、相談のタイプが異なる。韓国特許庁産業財産政策局のイ・ジュンソク局長によると、「東南アジアでは、現地メーカーによる侵害への対応事例が多いが、米国では訴訟をかけられた件が多い。米国東部に知財-デスクの追加解説を検討中だ」という。昨年米国のLAに知財-デスクを設置しており、初年の相談件数が627件にのぼった。9か所の海外知財-デスクのうち最も多い。

業界からは、先進国を中心とした「知財-デスク」機能強化を求める声が高い。P&IVYのキム・ギルへ代表は、「昔、先進国で大手企業も知財問題で大きな被害を受けた。中小企業は、訴訟をかけられると甚大な被害を受けかねない。先行特許の調査や、他に打つ手がない場合はライセンス契約などで問題を解決できるよう、政府が支援を行うべきだ」と強調した。

キム・ジュンベ記者

海外知財-デスク知財権相談の実績(資料:韓国知識財産保護協会)

区分

2009年

2010年

2011年

2012年

中国

北京

148

257

430

365

上海

185

312

358

298

チンタオ

151

205

297

577

広州

179

234

268

565

シェンヤン

-

157

339

334

タイ

バンコック

43

113

195

250

ベトナム

ホチミン

28

-

-

70

ハノイ

-

57

37

13

米国

LA

-

-

-

627

小計

-

-

-

627

合計

734

1335

1924

3726

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