知的財産ニュース 韓国IT企業、昨年特許権使用料の海外流出額が10兆ウォン

2013年1月23日
出所: デジタルタイムズ

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昨年、韓国の主なIT企業を始めとする韓国国内企業が、特許権などの使用料として外国に支払った金額が約10兆ウォンに上る見通しだ。

23日、アイデアブリッジ資産運用会社と韓国銀行によると、昨年1月~11月の国際収支の中、「知的財産権などの使用料の支払い額」は76億9千万ドルで、2011年の支払い額(72億9千万ドル)より5.5%多かった。昨年1ドル当たりウォンの平均為替相場が1.126.76ウォンであることを考慮すると、韓国ウォンに換算して8兆7千億ウォンに上る。昨年12月の支払い額が前年の水準を維持さえできれば、昨年の全体支払い額は9兆5千億~9兆6千億ウォンとなる。知的財産権などの使用料とは、韓国企業が商標と特許技術のような知的財産権を使用した代価として外国企業などに支払う金額だ。

昨年、ローヤルティとして外国に支払った金額が10兆ウォンに迫り、国際収支も再び赤字に回った。昨年1月~11月の知的財産権などの使用料の収入が32億4千万ドルにとどまることにより44億5千万ドルの赤字となった。

知的財産権収支は、統計値のある1980年から赤字規模を大きくし、2010年58億9千万ドルで最高値を記録した後、2011年大幅に減ったが、昨年再び大幅増加となった。このように毎年赤字となった理由は、IT輸出品目が外国商標や特許を使用したケースが多いためだ。基盤技術製品よりは外国特許を利用して再加工した商品が多く、輸出が増加することによりローヤルティもともに増加する構造から逃れられない状況だ。

外国の特許管理専門会社(NPE)は、サムスン電子、LG電子、SKハイニックスなどを相手にあらゆる特許訴訟を提起しており、基盤技術の確保ができなければ持続的な国冨流出は不可避である。2011年韓国国内企業と外国企業の特許紛争は279件で、前年より50%増加した。

インターデジタル(InterDigital)は、2005年末からサムスン電子などを相手に移動通信関連の特許訴訟を起こし膨大なローヤルティの収入を得ている。この会社は、2011年の売上高3億174万ドルのうち、39.1%の1億1808万ドルが韓国企業を相手に訴訟を起こして得た収入だ。

カナダのNPEであるモサイド(MOSAID)も、2011年の売上高8千300万カナダドルの46.8%(3千767万カナダドル)がサムスン電子、LG電子、SKハイニックスなどとの特許紛争で得た収入だ。

韓国国内の特許出願件数は、2011年に27万9000件となり、世界5位に急成長したが、質的な成長は不十分で、特許訴訟において勝訴することは容易ではない。適当なローヤルティの支払いが産業的にはプラスではあるが、支払額が多いと企業の価値と株価にマイナスの影響を与えるため、基盤技術の確保に対する努力が必要だという指摘だ。

昨年、サムスン電子とアップルの特許訴訟からも確認されたように、世界市場で保護貿易主義が強化されており、知的財産権の重要性が日増しに高まっている。

キウムリサーチセンターのパク・ヨンチェセンター長は、「サムスン電子、LG電子などを相手にした外国パテントトロールの攻撃はさらに強くなるはずだ。韓国企業も基盤技術を積極的に開発して特許費用を削減するか、海外の基盤技術企業を買い取ることを視野に入れておくべきである」と述べた。

シン・ドンギュ記者

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