知的財産ニュース 国立農業科学院「国家特許微生物統合保存所」に選定

2013年6月14日
出所: 韓国特許庁

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韓国特許庁、農村振興庁の国立農業科学院を「国家特許微生物統合保存所」に指定
韓国特許庁と農村振興庁、国の特許微生物安全の重複保存に向けた了解覚書を締結

農村振興庁と韓国特許庁は、6月13日、統合管理担当を国立農業科学院と定め、「国家特許微生物統合保存所」に指定する了解覚書(MOU)を締結し、開所式を行う。まさに「特許微生物のノアの方舟が錨を上げた」と言える。

韓国特許庁は、微生物関連の特許を出願するとき、出願書とともに提出される特許微生物を寄託機関に寄託させる「特許微生物寄託制度」を1981年から運営している。現在、ソウル、水原、大田に4か所の寄託機関が指定され、約9000点の特許微生物が保存されている。

しかし、こうした微生物が火災や震災などによって失われてしまうと、二度と復旧することができない。2005年、韓国の研究機関で停電が起きて飼育していた実験用サルの大半が死んでしまった事件をきっかけに、生物資源の安全な保存に関する関心が高まっている。既に米国や日本などでは、生物資源を安全に保存するための重複保存施設が運営されている。

国の主な資源とされている特許微生物を安全かつ効率的に重複保存できる「国家特許微生物統合保存所」の構築を計画し、外部からの公募、実態調査、専門家の評価を経て、最終的に農村振興庁の国立農業科学院が「国家特許微生物統合保存所」として指定された。同保存所は、火災や停電、震災、戦時の爆撃などの大型災難にも備えられるように設計されている。

農村振興庁は、今回の了解覚書の締結に基づき、2014年から2年間、4か所の寄託機関の特許微生物約9000件の複製を作り、統合保存所に移動させる一方、2016年からは、年間約600件の新規出願される特許微生物を複製・保存するほか、特許微生物に関する情報もCDにコピーして統合保存する。従来の4か所の寄託機関による寄託業務は維持される。

特に、最近、種子、細胞主、受精卵、遺伝子などと特許微生物は、零下196℃の液体窒素を用いて最小30年以上、最も安全に保存され、液体窒素の保存が不可能な一部の特許微生物については、それぞれに合わせた最適の保存方法を適用して保存する計画だ。

今回、統合保存所が立ちあげられる国立農業科学院の農業遺伝資源センターでは、50万点以上の種子と、5万点以上の微生物が保存できる世界的な規模の貯蔵庫を保有している。

また、零下196℃で補完できる超低温貯蔵庫とロボット入出力システムを具備している。耐震設計を適用し、震度7.0の揺れにも耐えられ、停電に備えた3重の電力供給設備も設けられている。

農業遺伝子資源センターは、生物資源の貯蔵施設として、その優秀さを認められ、2008年国際連合食糧農業機関(FAO)の世界作物多様性財団から、世界各国の主要な遺伝資源を保存する「国際安全重複保存所」に指定された。

農村振興庁と特許庁の両機関は、了解覚書の締結において、「国家特許微生物の統合保存所」の指定以外にも、伝統知識DBの構築、国有特許の管理・技術移転、知的財産権の獲得戦略の確立、特許動向の分析など、両機関が保有している知識の共有や業務協力をさらに広げていくことで合意した。

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