知的財産ニュース 韓国特許庁の現職審判官 『デザイン戦争』を出版

2013年3月11日
出所: 韓国特許庁

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デザイン知的財産権経営のレベルに合わせて参考にできる手引書

現職の韓国特許庁審査官がデザイン特許係争について執筆した書籍『デザイン戦争』が出版された。

アップルとサムスン電子のデザイン訴訟をきっかけに高まっている一般人のデザイン知財権への関心に答えを出した、タイミングの合ったデザイン知財権の初の手引書として、産業界や経営界から良い反応が示されるものと期待されている。

本書では、ここ数年間、メディアでイシューとなっているアップルとサムスン電子の特許係争から、伝統的な食べ物や器の形にいたるまでの様々な事例を上げ、著作権法と特許法、商標法、デザイン保護法、不正競争防止法など、かなり掘り下げた内容になっている。

また、デザインを商標や特許として保護されている「ナイキ」、「リボック」、「アップル」などのような多国籍企業のデザイン経営方法や「ミー・ツー(me-too)」商品の効果的な市場保護に向けた商標出願の戦略、侵害訴訟が起きた時の有利な対象方法などのノウハウも掲載されている。

これまでの一般的な経営書や法律書籍は、挿絵などがなく、文字がびっしり詰まっていたなら、本書は、ページごとに絵と図表、多様な比較に加え、繰り返して説明することで一般人の理解を高めている。

退屈で堅くなりがちな知的財産権を敢えて「幼稚な」比較を挙げ、アプローチしやすくしたほか、難しい専門用語に代わって、簡単な日常用語で説明しているため、デザインや法律に詳しくなくても誰でも読めやすくなっている。

例えば、デザイン特許権の侵害を「キム氏が忘れた牛」に、特許制度の猛点を最近話題になった「アイドルグループのいわゆる奴隷契約」に、侵害訴訟を自動車の事故に例えたりする。

著者の韓国特許庁デザイン2審査チームのキム・ジョンギュン審査官(40歳)は、デザイン分野の博士特別採用で庁入りした。ソウル大学産業デザイン学科で大学、修士課程、博士課程を終え、著書としては「韓国のデザイン史(2008)」がある。

ソウル大学やヨンセ大学などで10年間講義を行ってきた経歴と、韓国特許庁に特別採用後の約3年間の「デザインの知財権コンサルタント」経験を生かし、様々な事例と経験をこの本に詰め込んだ。

キム・ジョンギュン審査官は、「デザイン関連のコンサルタントと審査業務を行ってきた過程で得た知識が、企業や自治体、デザイン業界の従事者に少しでも役に立ってほしいという思いでこの本を書いた」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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