知的財産ニュース 公共デザイン登録 自治体別に偏差大きく

2013年9月10日
出所: 韓国特許庁

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2000年代の公共デザインがブームとなり、全国の各地方自治団体は、オリジナルのフォントやベンチ、街路灯などのデザインを開発したが、その登録管理にはばらつきがあることが明らかになった。忠清北道、全羅北道、蔚山広域市はデザイン登録率が高く、ソウル特別市や京畿道は、デザイン出願は多いが登録率は低く、釜山・大邱・大田広域市は、出願そのものが低い水準にとどまっている。

韓国特許庁が行った2009年から2011年までの3年間における広域自治団体及び市・郡・区の基礎自治団体による公共デザイン出願・登録件数調査によると、忠清北道が59件を出願して57件を登録、全羅北道が22件を出願して21件登録、蔚山広域市が17件出願して17件登録し、3自治体ともに95%以上の登録率となった。

一方、ソウル特別市と各自治区の場合、計134件を出願したが、このうち30件が登録されて登録率は22%にとどまった。京畿道とその基礎自治団体の場合には、計2000件を出願し、137件が登録されて登録率は68.5%にとどまった。釜山・大邱・大田広域市は、ともにデザイン出願がわずか4件だった。

このように、各自治団体別の出願件数及び登録率に偏差が大きい理由は、デザイン登録に対する理解の不足で出願の時期を逃したり、審査過程において対応が不十分だったりすることが要因としてあげられており、一部では、代理人を選任しないで自治体の担当者が直接出願手続きを行ったところもあることが把握された。

具体的には、ある自治体では、2008年、ゴミ箱、ベンチ、街路灯、マンホールのふた、街頭販売店などの様々な公共施設物を開発し、「公共デザイン施設物の標準型デザインマニュアル」という本とインターネットに公開し、一部では、報道資料に写真を掲載して配布した後の2010年になって特許庁にデザイン登録出願したため、十数件が新規制違反で拒絶された。また、他の自治体は、デザインを出願した後、出願料を適宜に納付せず、17件が無効になってしまった。

公共デザインの大半は、著作権の保護対象ではないため、特許庁に登録しないと知財権として保護されたいため、デザイン登録段階では、法で定められた期限と手続きを必ず遵守し、専門家と相談する必要がある。

複合デザイン審査チームのソン・ビョンジュチーム長は、「デザイン登録出願に関する出願・審査の過程では、大半の場合、補正手続きを必要とするが、この場合には、産業財産権全体に詳しい専門家と相談をするか、自治体の法務担当者を介するのが望ましい」と説明し、審査処理期間の短縮については、「優先審査請求制度を積極的に活用してほしい」と制度の利用を呼び掛けた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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