知的財産ニュース 世界特許情報標準(ST.96)の統合…韓国と米国が主導

2013年7月10日
出所: 電子新聞

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新しい特許情報標準(ST.96)の統合に向けた取り組みが韓国と米国から出ており、 国別に異なっている知的財産(IP)関連のデータの標準化が完了された場合、情報利用者の利便性が向上すると期待されている。ヨーロッパなど、従来の標準を採用している国が参加するかどうかにも注目が集まっている。

韓国特許庁は、世界知的所有権機関(WIPO)の特許情報標準の中でも新しい標準様式とされる「ST.96」の採用事業をめぐり、5極特許庁(IP5)の中では韓国と米国が導入への取り組みを開始したと発表した。 ST.96は、国別に異なっているデータ様式であるST.36(2004年採用)、ST.66(2007年採用)、ST.86(2008年採用)よりも、さらに詳細なガイドラインとデータ交換における統一性を確保している。

これは、韓国と米国が最も積極的に取り組んでいる。韓国はこれまで、独自の標準を使っていたため、特許情報利用者が検索などの情報獲得に困難していた。韓国特許庁は「文書構造に相当の未標準項目と誤りが存在し、データの可読性が落ちていた。出願番号、公開番号など、主要番号の体系が生産時期や権利別に異なっていて、検索に難があった」と説明した。 ST.96を採用すれば、単純なテキスト構造で提供されていた情報がXML形式に変更される。韓国特許庁では、今年、5か年計画の策定において、普及データベースにST.96を採用することを決めた。

米国特許庁(USPTO)もST.96システム採用のためのプロジェクトを進めている。特許出願の全過程を電子処理するシステム(PE2E)の改善と連携し、標準の影響を受ける部分は、2016年まで採用を完了する計画だ。韓国特許庁によると、日本(JPO)と中国(SIPO)も現在はST.36標準を採用しているが、各国特許庁の動向に応じては、立場の変更が可能だということが確認された。各国特許庁の内部システム変更のとき、ST.96に切り替えるかどうかを検討したいとの立場だ。

ヨーロッパ特許庁(EPO)は、まだST.96標準導入には及び腰だ。韓国特許庁の関係者は、「ST.36標準を兼ね備えているヨーロッパ特許庁がシステムを全て変更するのは容易ではないだろう」と話した。

WIPOでは、世界の特許庁間における言語障壁を無くし、特許出願や審査情報をリアルタイムで確認できる「国際特許情報システム(Global Dossier)」構築への合意に基づき、特許情報標準化も強調している。 今年10月に予定されている第7回IP5実務者グループ会議の場において、データ標準化案が議論される予定だ。

クォン・ドンジュン記者

韓国(KIPO)

独自の標準→ST.96へ切り替え中

米国(USPTO)

ST.96へ切り替え中

中国(SIPO)

ST.36(現在、ST.96への切り替えを検討中)

日本(JPO)

ST.36(現在、ST.96への切り替えを検討中)

ヨーロッパ(EPO)

ST.36維持

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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