知的財産ニュース 大学・研究所の特許が放置されている

2013年4月8日
出所: 電子新聞

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大学と公的研究機関が持っている特許10件のうち7件は放置されているという。学会と研究会では、特許利用を妨げる現制度が問題だと指摘した。産官研の共同研究を通じて優秀な技術を知的財産化する時の技術移転の自立性保障を求める声が高い。

韓国知識財産研究院が今年の初めに特許活用専門家362人(企業209人、大学・公的研究機関117人、特許移転サービス業36人)を対象にアンケート調査を行った結果、45%が共同研究開発(R&D)で得られた共有特許の活用が最も難しいと答えた。大学・公的研究機関の60.71%が共有特許は利用し難いと答えた。共有特許とは、産官研が連携して技術R&Dに人材とコストを投じ知財化した特許を意味する。特許権はR&D投資家が所有する。

韓国の特許法第33条では、「2人以上が共同で発明した時、特許を得られる権利を共有にする」と明示されている。最近、技術力とコストの限界を克服するため、共同研究を通じた特許出願が積極的に行われている。韓国知的財産研究院のシン・ミラン博士は、「リスクの分散・予防に効果があることが明らかになり、共有特許の出願も増加傾向にある」と説明した。調査の結果、共同R&Dのうち、76%が産官研共同だ。

しかし、大学・公的研究機関が持っている特許は、企業の活用率は平均87.6%に達しているが、他の機関に移転されたか、実験室の創業、研究院の創業などに利用されたのは23.4%にすぎない。大学・公的研究機関は、「共有特許の持ち分移転度実施権設定に他の共有者の同意を得させる現行法律が特許活用を阻害している」と批判した。同制度を問題視すると答えた企業は14.3%にすぎない。

特許法99条によると、共有特許は、他の共有者の同意を得なくても発明を使用(実施権)できる。しかし、持ち分の譲渡や実施権を他の人に設定する場合には、共有者の同意が必要だ。これは、大学・公的研究機関が特許権を利用するためには、共に出願した企業の許諾を得なければならないという意味だ。特許権の独占を防ぎ、共有者の権利を保護するための制度なのだ。しかし、シム博士は、「大学と研究所は、直接特許を実施する能力がなく、特許権の移転と実施権の設定を通じて収益を上げることになる。実際、企業と共有した特許は、企業の同意無しには活用できない状態だ」と説明した。

共同R&D成果を学・研が活用できないため、昨年、国家知識財産委員会では、「産官研協力研究ガイドライン」を提示した。共同所有の特許の処分・実施・収益の配分に関する規定を設けたのだ。大学と公的研究機関の特許収益の配分を強調してはいるが、ガイドラインなので拘束力がないというのが専門家の見方だ。ある研究所の関係者は、「契約の際に、ガイドラインを厳守する必要はないので、コスト投資額が多い企業の声が強く反映される仕組みだ。交渉力の弱い大学・公的研究機関への配慮が乏しい」と述べた。

ドイツや米国などの海外では、他の共有者の同意がなくても特許の持ち分を譲渡できる。米国は、第3者に実施権を設定する時にも同意は要らない。フランスでは、特許の持ち分を譲渡する時、他の共有者がまず買収できる権利を保障する。韓国と特許法が類似している日本は、持ち分の移転や実施権設定に他の共有者の同意が必要だ。

シム博士は、「共有特許制度の根本的な問題は、法制度の見直しによって解決するのが最も望ましい。他の共有者の同意条件を維持するためには、紛争発生を抑えるための利益分配義務を明文化する規定が必要だ」と述べた。また、「同意要件を廃止すれば、企業の共同R&D参加が低下する可能性があり、他の共有者の優先買収請求権を認める必要がある」と付け加えた。

クォン・ドンジュン記者

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