知的財産ニュース 韓国富士通、ポータブルブランチで悩まされ

2013年7月3日
出所: デジタルタイムズ

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最近、ウェブキャッシュとの特許紛争に巻き込まれている韓国富士通が訴訟を提起し対応に乗り出したが、逆に事業拡大に苦汁をなめるなど、頭を悩まされている。

3日の業界によると、ウェブキャッシュが「ポータブルブランチ」関連特許を不当に取得したとして韓国富士通を相手に訴訟を提起していたなか、競合会社であるウェブキャッシュに一部プロジェクトを奪われた。2011年から関連事業を展開してきた韓国富士通は、今回の訴訟をきっかけに市場シェアを確固にしたい考えだが、容易ではなさそうだ。

ポータブルブランチは、銀行の金融業務を支援する携帯用の端末だ。韓国富士通は、2011年から企業銀行やシンハン銀行、外換銀行などに、関連のソリューションを供給してきた。ところが、昨年、韓国富士通とポータブルブランチ事業を進めてきた「mobirus」社がウェブキャッシュに買収合併され、この会社が保有していた特許権もウェブキャッシュに渡された。これを通じてソリューションを強化したウェブキャッシュは、ウリ銀行とプサン銀行などに製品を供給し、市場でシェアを広げていた韓国富士通と本格的な競争を始めた。

両社間の葛藤が水面上に表れたきっかけは、今年の初め、ウリ銀行のスマートブランチ視点構築事業だ。昨年末の試行事業において3台のポータブルブランチソリューションを供給したが、ウェブキャッシュが本事業に参加することで特許が問題となり、ウリ銀行の関係者と両社の法律代理人が議論の末、当初の随意契約において競争入札に転換して進行した。ウェブキャッシュは、この事業で全体の70%に当たる11台を供給し、韓国富士通は5台の供給にとどまった。

韓国富士通は、現在、ウェブキャッシュを相手に特許無効訴訟を提起している。しかし、ウェブキャッシュが保有しているポータブルブランチ特許が買収合併したmobirus社の固有技術として認められた場合、韓国で事業を展開するうえで大きな打撃になるとみられる。

ウェブキャッシュのイ・ジョンソブ理事は、「mobirusの代表を務めながら、このソリューションを開発した時、韓国富士通は、たった1ウォンも投資したことはない。うちの職員が独自で開発したソリューションであり、韓国富士通は、これを利用して自分の事業展開ばかり考えていた」と主張した。

社会的な雰囲気も韓国富士通には悪材料だ。今回の事件が韓国の中小企業と外国系企業の対決構図に見られたら、身動きの幅は縮んでしまう。

韓国富士通の関係者は、「外国系企業が中小企業の活動を邪魔しているように見られていて、積極的に対応したいが、思い通りにはできていない状況だ。泥沼化しないよう円満に合意を進めていきたい」とコメントした。

チョン・ヨンチョル記者

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