知的財産ニュース [IPリーダスフォーラム] 創造経済時代、先進IP環境構築のための特許庁の役割

2013年4月28日
出所: 電子新聞

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創造経済時代の核心に知的財産(IP)が浮上している中、IP関連中心部署といえる特許庁の役割が期待されている。IP創出・保護・活用のために企業・研究所・IPサービス業界の専門家で構成された「IPリーダスフォーラム」は、去る26日、ソウルリツカルトンホテルにて「創造経済時代、IP環境改善と特許庁の役割」というテーマでセミナーを開催した。
ペク・マンギIPリーダスフォーラム会長(韓国知識財産サービス協会)は、「創造経済と共に大統領もIPに対する確固な認識と環境改善の意志があるたけに、特許庁の役割が重要となった」と述べ、「特許庁を中心に先進IPシステムを構築し、グローバルIP強国として生まれ変わる時である」とした。
電子新聞は、先月に就任した金・ヨンミン特許庁長と各界のIP専門家との対談をQ&Aの形で掲載した。

Q. 金・キルへPNIB代表

創造経済時代の特許庁は、他の部署とは違う独歩的な役割がある。特許が価値ある資産であると認識させることだ。これまで特許は展示用品にすぎなかった側面があった。特許庁で審査・審判を強化し、市場において認めてもらう特許にするべきだ。
その方法として、裁判所と特許庁が親密な関係を構築して特許無効率を下げることだ。特許審査期間の短縮が、必ずしも良い側面ばかりではない。IPサービス業界では、特許に投資して海外出願も支援している。しかし、韓国で出願した特許に対し、該当国で審査請求を猶予するケースがある。あまりにも早く処理されたことにより、各国において再度審査する費用が高くなるからだ。質が落ちる特許を持っていくとグローバルビジネスに制約が生じるのである。

A. 金・ヨンミン特許庁長

審査期間の短縮には賛非両論がある。短縮は国際的な趨勢であり、韓国だけではなく日本は11ヵ月、米国も2015年まで10ヵ月に短縮すると公式的に発表した。ヨーロッパ特許庁や中国においてはまだ動きはない。特許審査期間の短縮は大統領も気にしている部分である。無条件早く行うべきではなく、企業が望む時期に審査処理することが最も良いことである。審査処理猶予制度がある。余裕を持って処理を希望する企業はこれを利用することができる。ほとんどの中小企業は出願と同時に審査処理を希望し、大企業は一部のみ同時処理を希望する。韓国は幸いに多様な審査システムを持っている。3通りの期間(3トラック)で審査処理期間を分けることができる。審査期間短縮のためには、審査官の人材補充などの解決すべき課題などが多い。
特許無効率を下げる戦略も必要だ。日本の場合、飯村敏明当時知的財産高等裁判所部長判事の判例以降、20%近く無効率を下げた。裁判所の慣行も変えないとできない部分である。特許審判院では特許無効率をどのように下げるかが悩みであり、最大限審査の品質を高める方策を講じるようにしたい。

Q. 朴・ジョンヒョ特許情報院顧問

韓国IP環境において最も不足している部分は、事業化・活用部分である。大学・公的研究機関など供給者が創出した技術・アイデアは基礎分野が多い。企業はライセンシングを受けると同時に事業化することを要求する。基礎分野技術と事業化分野技術の格差があるわけで、この格差を減らすためには基礎IPに対する後続・追加研究開発(R&D)支援が必要だ。特許庁では大学・公的研究機関が追加のR&Dができるように支援すれば格差を減らすことができるのでは。

A. 金・ヨンミン特許庁長

大学・公的研究機関のIP技術と企業が事業化する時に必要なIP技術の格差を減らすことはいいアイデアだ。中小企業庁で推進している事業のように、産業通商資源部と特許庁が協力して遂行することも可能だ。各部署が連携してIP環境のための良いアイデアに支援できる方案を講じたい。各部署で連携することができれば多くの部分でしっかりとしてくるはずだ。

Q. 朴・テウン韓国研究所技術移転協会長

年次料納付も問題だ。特許庁で公的研究所に特許年次料を50%、中小企業には70%を減免している。しかし、最低5年以上特許を保有していないと企業で活用できないことを考えると、減免期間の限界が問題だ。寄付滞納や特許信託などの制度があるが活用度は低い。政府出資研究機関でも5年以上の特許を放棄する事例が多い。特許技術が事業化となるためには6年~10年程度がかかるため、5年目で放棄すると非常にもったいない。

A. 金・ヨンミン特許庁長

年次料に対し常に悩んでいる。大学・公的研究機関の事例もたくさん聞いている。特許庁の年次料納付の仕組みが、4年目以降の年次料を減免するためには特許法を改正しなければならない。勝手に年次・登録料を減免すると特許庁の収益構造が崩れてしまうからだ。
改正することも可能だが、法改正であるため時間がかかる。韓国の特許年次料の仕組みは他国と異なる。特許出願を促進するために初期費用が安く、年次が上がるほど高くなる仕組みだ。出願など初期費用の引き上げ可能性もある。
初期費用を値上げることで中小企業に大きな被害はない。多数特許を出願する大企業が高い費用を払うことになるはずだ。デザインの場合もデザイン審査手数料が先行調査の外注費用にもならない程安い方である。このような仕組みを現実化することも解決策だとみている。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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