知的財産ニュース 韓国特許庁 トムソンロイター式の知財情報流通サービス準備中

2013年3月16日
出所: 電子新聞

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韓国特許庁は、知的財産情報産業の活性化に向け、多種多様な情報を組み合わせた融合・複合サービスを開発する。知財情報を基盤にしたビジネスモデルを選定・拡大するため、「知財情報流通システム」も運営する。サービス産業振興策の一つとして業界では歓迎している。

韓国特許庁は、ソウルの韓国知識財産センターにて「知財情報産業関連業界の懇談会」を開き、「知財情報産業の活性化に向け、特許やサービス、科学、法律など、様々な情報を組み合わせた融合情報サービスの開発を考えている」と事業内容を明らかにした。融合情報システムの構築を通じて、新たなビジネスモデルを探り、拡大できる基盤を設けたいという意味だ。海外では、知財情報、ニュース事業、科学技術、法律サービスなどを様々な情報を活用しているトムスンロイター社の事業と似ている。

融合サービスを提供するために提示された方策の一つが「知財情報流通システム」の運営だ。公共機関が保有している知財情報と民間の知財加工情報を自由に取引できるオンラインプラットフォームを構築するという内容だ。公共の知財情報に民間の情報を搭載することができ、アプリケーションプログラムインタフェース(API)との連携を通じて構築することも可能だ。

この日に議論された知財情報産業の活性化策としては、「知財情報サービス専門企業の認証制度の導入」、「オンライン知財情報商品の開発支援センターの構築」もある。知財情報サービス専門企業の認証制度は、一定の専門性を兼ね備えた知財情報サービス会社を「専門企業」として認めるものだ。韓国特許庁情報企画局のビョン・フンソク局長は、「市場が知財情報価値を認め、利用者の信頼を守るためでは、必要なものだ」としながらも、「新規会社の市場参入を妨げるという懸念が残る」という意見を示した。韓国特許庁は、導入するかどうか、専門企業の認定主体を誰にするのか、選定の際のインテンシブはどうするとかなどの内容を追加的に検討していく考えだ。

知財情報データベース(DB)、技術移転、電算資源、研究開発(R&D)資金、技術教育、コンサルタントを支援する「オンライン知財情報商品開発支援センター」は、民間市場にクリエイティブなアイデアを出した時、それを利用できる特許情報のDBと電算資源を提供していく方策だ。知財情報産業の市場が零細であるだけに、公共部門が特許情報DBやサーバーなどを利用できるように支援する。韓国特許庁は、「センターが構築されれば、新規商品の開発コストダウンにつながる一方、開発期間を短縮できる」と説明した。

本事業により、研究所・企業などの利用者の持っている「知財情報サービスが供給者中心になっており、活用の価値がない」という不満を解消できる見通しだ。「需要・供給期間の協業及びパートナシップの構築」を通じて、需要者に合わせた知財情報の活用、拡大、新たなビジネス環境を構築して民間サービス市場を拡大できる。LG電子の関係者は、「知財情報業界の成長は、産業の需要に応じて決められる。知財情報の業界が需要を満足できる能力を強化する必要がある」と述べた。

懇談会で検討された活性化策は、特許情報のDB、特許調査・分析、システム開発、維持管理、翻訳などの知財情報産業の市場において、海外企業が先行し、韓国の産業規模は小さいという現状を転換するために議論された。韓国特許庁によると、韓国の知財情報産業の規模は、4105億ウォン水準だ。米国(4兆3300億ウォン)や日本(1兆3676億ウォン)より少額規模だ。

知財情報協会では、産業活性化策を歓迎している。ある知財情報サービス会社の代表は、「市場では、様々なアイデアと高級データ情報を創出することはできるが、資金、インフラ、人手問題の解決が急がれていた。活性化策が推進され、産業育成に貢献できることを期待する」と述べた。

知財情報産業活性策

知財情報基盤のビジネスモデルの選定・拡大

特許情報、サービス情報、科学技術情報などを結合し、民間に高品質の融合・複合サービスを提供

需要・供給期間の協業及びパートナシップの構築

オーダーメード型知財情報活用と拡大、創造経済の環境を構築

知財情報サービス専門企業の認定制度の導入

事業の性格、分野、技術分野別の専門性を強化

オンライン知財情報商品の開発支援センターの構築

民間に必要な公共知財情報DB、サーバーなどの電算資源、R&D資金、技術教育支援

知財情報流通システムの運営

公共・民間知財情報取引プラットフォーム、フラットフォームを利用した新事業を創出

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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