知的財産ニュース アップルのバウンス・バック特許が無効に
2013年4月2日
出所: 電子新聞
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米国特許庁がアップルのバウンス・バック特許について無効判決を下した。バウンス・バックは、指先でスマートフォンをスクロールする時、最後の部分で跳ね返って最後であることを示す技術で、アップルがサムスン電子に特許侵害の訴訟を提起した主な理由のひとつだ。
2日、知的財産権専門ブログFOSS PATENTSは、米国特許庁が先月29日にアップルのバウンス・バック特許の20項の請求項のうち、17項について無効を決定したと伝えた。
残りの3項は、非常に特殊な状況におけるバウンス・バック機能だ。特許専門家は、一般的な状況でのバウンス・バック特許は、事実上無効化されたと分析した。米国北部地方裁判所でアップルと控訴審を進めているサムスン電子は、今回の無効決定により、賠償額を削減させるチャンスを得た。
バウンス・バック特許は、サムスン電子とアップルが行っている訴訟ではコア技術の一つだ。昨年8月、米国の陪審員は、サムスン電子がアップルのバウンス・バック特許を侵害したと評決し賠償額を請求した。先月、コー・ルーシー裁判官は、「パシネイト」、「ギャラクシーACE」、「ギャラクシーS」、「ギャラクシーS 4G」、「ギャラクシーS2」、「ギャラクシーTab10.1」、「メスマライズ」、「バイブラント」などの機種に対し、5億9000万ドルの損害賠償額を確定した。
この損害賠償額には、バウンス・バック特許関連の金額も含まれており、新しく裁判をする14機種も同様だ。サムスン電子は、すでにアップルのバウンス・バックを迂回した技術を適用し販売中だ。アップルは、特許審判院に控訴できる。
サムスン電子とアップル訴訟のコア特許技術であるバウンス・バックの権利範囲が縮小された。
訴訟に与える影響は大きくないが、アップルが主張してきた主な争点が力を失うと考えられる。ただ、サムスン電子がアップルのコア特許を侵害してスマートフォンを開発したという汚名の一部を返上したといえる。
特許専門家は、特許庁の決定が原審最終判決における賠償金や新しい裁判に直ちに影響することはないと口を揃えた。すでに原審訴訟の最終判決でサムスン電子がアップルの特許を侵害したことが認められ、賠償金が算定されたためだ。
賠償金の算定に問題があり、新しく裁判を行うの時にサムスン電子がこのカードを切り出すことはできる。サムスン電子は、陪審員に対し、米国特許庁がバウンス・バック特許の範囲を縮小したため、侵害したかどうかについて慎重にアプローチしてほしいと求めることができるのだ。
米国特許庁は、昨年からバウンス・バック特許無効決定を下してきた。特許庁は、昨年10月、バウンス・バック特許が2つの先行特許と似ているか一致しているとして、暫定的に無効判決を下した。12月初めにも、10月の暫定判決を支持する判決を出した。昨年10月から6ヶ月の間、無効判決を3回も言い渡した。
イチャンフン特許事務所のアジュ・ヤンホン弁護士は、「米国特許庁がバウンス・バック特許20項の請求項のうち、17項を無効化したが、これを実質的な無効だとも言えるが、権利自体が消滅したわけではない。14種の商品の新しい裁判にも今回の判決が直ちに影響与えることはない」と説明した。
理由は、訴訟を担当している裁判官が特許審判員の結論を待って、判決を言い渡す可能性が高いためだ。ドイツで進められた訴訟では、一部の特許が無効訴訟に係留されたという理由で判決保留決定を出した前例がある。同弁護士は、「アップルは、特許裁判所に控訴するとみられ、今回の決定が最終的な決定ではない」と説明した。
ドイツの知的財産権専門ブログ FOSS PATENTSも「裁判官が特許庁の最終決定を直ちに判決に反映することはないだろう」という見解を示した。
キム・インスン記者
米国裁判所におけるサムスン電子とアップルの特許係争
- 2011年04月15日
- アップル、特許侵害を理由にサムスンを提訴
- 2011年06月30日
- サムスン、4月に反訴
- 2011年07月01日
- アップル、サンムスンの4機種に対し販売差し止め仮処分を申請
- 2011年12月02日
- 米裁判所、アップルの仮処分申請を棄却
- 2012年02月08日
- アップル、ギャラクシーネクサスの販売差し止め仮処分を申請
- 2012年04月18日
- サムスン、2月の提訴に対し反訴
- 2012年05月14日
- 控訴裁判所、アップルの仮処分控訴のうち、タブレットデザイン1件を地方裁判所に差し戻し(追加審理を命令)
- 2012年05月21~22日
- 裁判所の勧告を受け、サムスンのチェ・ジソン副会長とアップルのティム・クック最高経営責任者が交渉、決裂
- 2012年06月26日
- 裁判所、ギャラクシーTab10.1販売差し止め仮処分を命令
- 2012年06月29日
- 裁判所、ギャラクシーネクサス販売差し止め仮処分を命令
- 2012年07月02日
- 裁判所、ギャラクシーTab10.1の販売差止め執行停止要請を棄却
- 2012年07月03日
- 裁判所、ギャラクシーネクサスの販売禁止執行停止要請を棄却
- 2012年07月15日
- サムスンのチェ・ジソン副会長とティム・クックCEOの2回目の合意交渉が決裂
- 2012年07月30日
- 本案訴訟を開始
- 2012年08月18日
- チェ・ジソン副会長とティム・クックCEOの3日目の電話による交渉が決裂
- 2012年08月24日
- 陪審員の評決でアップルの勝利。サムスンに約1兆2000億ウォンの賠償を要求
- 2012年09月01日
- アップル、ギャラクシーS3を追加提訴。2次の訴訟を定期
- 2012年09月21日
- サムスン・アップル、陪審の評決に対し、それぞれ再審と追加倍層を求める評決不服法律審理(JMOL)を要請
- 2012年10月01日
- 裁判所、ギャラクシーTab10.1の販売差し止めを解除
- 2012年10月02日
- アイフォン5を追加提訴。2次訴訟を提起
- 2012年10月11日
- 控訴裁判所、ギャラクシーネクサスの販売差止めの原審判決を破棄
- 2012年11月21日
- 2次訴訟の対象にアイパッドmini、アイパッド4などを追加
- 2012年11月23日
- 2次訴訟にギャラクシーNOTE2、ギャラクシーS3 mini、ギャラクシーS3などを追加
- 2012年12月17日
- 裁判所、アップルの「サムスン電子製品の販売永久禁止」要請を棄却
- 2013年01月29日
- 裁判所、両社の評決不服法律審理(JMOL)をそれぞれ棄却。サムスンが意図的に特許を侵害していないと判決。
- 2013年01月31日
- 控訴裁判所、ギャラクシーネクサスの販売差し止め仮処分を棄却
- 2013年02月16日
- 2次訴訟にギャラクシー3とアイフォン5を追加
- 2013年03月01日
- 裁判所、サムスンの賠償額を約6500億ウォンに調整
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