知的財産ニュース 自動車分野の特許攻防 完成車から部品会社に拡大

2013年5月8日
出所: 電子新聞

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現代モービスが米国とドイツで提訴されていることが確認された。海外企業の特許攻撃がセットメーカーの現代起亜自動車から部品メーカーにまで拡大している。


オートリブが現代モビスを相手に提出したエアーバック特許侵害の訴状

8日、業界と外国メディアによると、現代モービスが自動車エアバッグ世界1位のオートリブ(Autoliv)から2件の特許侵害訴訟を提訴された。

オートリブは、3月初め、米国とドイツの裁判所にそれぞれ訴状を提出した。オートリブは、訴状において、現代モービスが自社特許2件(特許番号7614653、7347450)を侵害したと明示した。訴訟の内容は、「エラントラ(韓国名はアバンテ)」のエアーバッククッションのモジュールと関連した技術だ。このモジュールは、エアーバックの弾ける力が強すぎて搭乗者に怪我をさせることを防止する役割をする。

これまで、韓国の完成車メーカーが海外に特許訴訟を提訴された事例はあったが、部品メーカーが提訴されたのは、今回が初めてだ。

特許専門家は、通常、自動車関連の特許訴訟が完成車メーカーを相手に行われたことから、今回の訴訟は異例的なことだと分析した。自動車部品に特許問題が生じれば、それを搭載している完成車メーカーに訴訟を提起した方がより多くの和解金が得られるためだ。

そのため、今回の訴訟が和解金を狙ったのではなく、現代モービスの海外直接進出を妨害する工作だという分析が説得力を得ている。

現代車グループの品質経営によって現代モービスの技術力が急伸したため、GMなど、海外の完成車メーカーへの納品が増え、競合会社が牽制に動いたという説明だ。

今回の訴訟主体が特許専門企業ではなく製造会社だということがこうした説明を裏付ける。現代モービスの海外直接進出が増えるにつれ、こうした関連製造会社による特許訴訟が増えるのは当然のことだ。

現代起亜自動車が2011年から米国で18件の特許訴訟を提訴され、今年で6件が追加された状況で、現代モービスまで特許訴訟の対象となり、現代自動車グループ全体が特許係争中だ。これまで、特許訴訟が集中していたのは米国だが、それが欧州にまで拡大したため、今後の影響に注目が集められている。

ある特許専門家は、「これまでは特許訴訟が多くなかった現代車グループ内に、関連人材が備えられているか疑問になる。今にでも特許人材を強化すべきだ」と述べた。

これに対し、現代モービスの関係者は、「社内検討の結果、エアーバック特許は侵害していないことが確認された。特許訴訟を提起されただけに、法的に対応していく考えだ」と説明した。

キム・ヨンジュン記者

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