知的財産ニュース 電機・IT分野の特許係争が深刻

2013年1月7日
出所: 電子新聞

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電子・IT企業の知的財産の係争件数が最近3年間、2倍に急増した。

特に海外での係争が増加し、輸出企業向けの解決支援策が急がれているという指摘が出されている。

電子情報通信産業振興会(KEA)特許支援センターが発表した「2012年電機・IT企業の知的財産実態調査結果」によると、電機・IT企業全体のうち、34.7%が知財係争を経験したという。これは、2009年度(15.4%)より2倍以上増加した数値だ。

知財係争は、特許権者に侵害の警告状を送られたり、侵害企業に警告状を送って企業や個人の裁判所での訴訟、貿易上の係争、行政措置など、全てを含めた概念だ。知財関連予算で年間10億ウォン以上を支出する企業の大半(94.4%)が係争を経験したと調査された。

専門家は、「知財関連の支出が多い企業に特に係争経験の割合が高いのは、係争以降の専門部署を設置し、専門人材を配置するなどの対策を設けたためだろう」と評価した。

知財係争は、海外を中心に拡大している。係争のうち、海外で発生した割合は41.9%と大幅増えている。

特許支援センターのイム・ホギセンター長は、「3年前の調査で海外の割合は14.3%にすぎなかった。海外の知財係争に合わせた支援が急がれている状態だ。」と説明した。

国籍も様々だ。業界の関係者は、「技術先進国の知財を韓国企業が侵害し、中国などの後発ランナーが韓国の知財を侵害する状況は、相変わらずだ。国別の知財係争対応支援策を設けるべきだ。」と主張した。

海外係争のうち、韓国企業が米国(72%)、日本(75%)など、先進国の特許権を侵害する事例が大半を占めている。特に、係争解決が急がれている分野は、電機部品メーカーだ。電機部品メーカー10社のうち7社以上(74.4%)が海外企業の特許権を侵害した経験があり、コンピューターなどの情報機器(30%)、家電(50%)や携帯電話などのメーカーより深刻な状態だ。ある中小企業の特許担当者は、「知財関連の人材や予算の投資が不足している状況で海外に輸出するための関連の先行技術調査が行われていないことも原因だ」と説明した。

海外企業が韓国企業の特許を侵害する事例は、全体の29.7%と高くない。しかし、海外企業から特許侵害を受けた企業のうち、侵害した企業の半分は中国だ。

特許支援センターは、「中国の産業成長と販売の増進にともない、韓国企業の特許を侵害する事例が急増している。中国の特許侵害から韓国の知財権利を保護する措置が必要だ」と説明した。

KEAのチョン・サンホン副会長は、「電機・IT関連の特許係争が激化しているが、企業の特許経営実践と係争に備える力は未だ不十分だ。電機・IT産業の国家競争力強化に向けて特許経営の認識向上はもちろん、企業別に合わせた知財コンサルタント、特許係争の予防サービス、特許係争教育など、支援事業を拡大していく計画だ」と述べた。

クォン・ドンジュン記者

電機・IT企業の売上高別の係争状況(単位:%)

訴訟

警告状段階で終結

訴訟前に合意

行政措置(税関、取締まり)に対応

警告状進行中

全体

52.0

24.3

18.4

3.3

2.0

売上高

300億未満

51.2

28.2

10.3

2.6

7.7

300~1000億

35.9

33.3

28.2

2.6

0.0

1000億~1兆

63.4

17.1

17.1

2.4

0.0

1兆ウォン以上

57.6

18.2

18.2

6.0

0.0

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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