知的財産ニュース 脱レアアースモーター技術の特許出願が活発

2013年2月26日
出所: 韓国特許庁

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モーターは今レアアースと別れ中…関連特許増加

世界的なレアアースの価格高騰により、最近では、レアアースを利用しないモーター技術の特許出願が増加している。

韓国特許庁の資料によると、レアアースを利用しないモーター技術の特許出願が2009年6件から2010年11件に増加し、2011年では、上半期だけで26件が出願されて増加基調にあることが示された。

レアアースとは、「自然界に極稀に存在している金属元素」という意味で、モーターの場合、永久磁石の磁性を高めるために利用されている。モーター用のレアアースの代表として、ネオジムとジスプロシウムが挙げられるが、1台の電気自動車向けモーターには、約1キロのレアアースが利用されると知られている。

モーター分野の脱レアアースのきっかけは、2008年、中国の輸出制限措置だった。「中東には石油、中国にはレアアース」というトウ小平の言葉のとおり、世界のレアアース供給量の97%を占めている中国の影響力は絶対的なものだ。中国の輸出制限以前のネオジムの値段は、1トン当たり19万人民元だったが、輸出制限後は、1トン当たり147人民元に7倍以上も高騰する。結局、これに危機意識を持ったモーター業界が急いでレアアースの代替技術の開発に乗り出したと分析されている。

現在、脱レアアースモーター技術の開発は、大きく2つに分けられる。1つは、レアアースが要らないSR(Switched Reluctance)モーターの構造改良技術で、もう1つは、高特性フェライト磁石によるレアアースに代替するための材料技術だ。

2011年上半期の出願人を分析すると、SRモーター技術が15件(58%)、フェライト技術が11件(42%)を占め、SRモーター関連出願が比較的に多くなっている。SRモーター分野は、サムスン電気が11件(73%)で最も多く、フェライト分野は、韓国企業が6件(55%)、日本企業が4件(36%)を出願している。

韓国特許庁の関係者は、「レアアース使用量の9割以上を輸入に依存している韓国は、代替技術の開発が急がれている。特に、未来の有望産業である電気自動車や風力発電などの分野で、脱レアアースモーター技術の開発競争はさらに激しくなり、関連特許出願も増加していくだろう」という見通しを示した。

資料1:脱レアアースしたモーター技術の出願件数

期間

出願件数

2008年全体

7

2009年全体

6

2010年全体

11

2011年上半期

26

資料2:ネオジム値段の動き

資料3:SRモーター関連の出願人別の出願件数の分布

資料4:フェライトを用いたモーター関連技術の出願人別出願件数の分布

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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