知的財産ニュース サムスンやLGなど韓国メーカーITCでの判決10件以上

2013年8月14日
出所: 電子新聞

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サムスン電子とアップルの米国貿易委員会(ITC)における紛争は一段落したが、米国への輸入禁止はもう一つの紛争の火種とされている。 サムスンとLG電子のITCにおける特許訴訟数件が判決を待っている状態だ。訴訟の大半は、パテントトロール(Patent Troll)と呼ばれる特許管理会社(NPE)が提起したものだ。アメリカ政府の保護貿易主義と絡み、韓国企業に相当な圧迫となる見通しだ。

電子新聞が特許分析会社「廣開土研究所」に依頼した特許絡みでITCに提訴されているサムスン電子・LG電子・現代起亜自動車の状況を分析した結果、サムスンとLG電子2社とも渓流中(Pending)にある事件が10件を越えている。

サムスン電子は、ITCの調査開始決定日を基準として2009年11月、ムルタ製作所から訴えられた件を始め2010年1件、2011年のアップル提訴件を含め3件が判決を控えている。昨年と今年もそれぞれ7件と3件提訴された。このなかで、解決された事件は、昨年初めの「デジテュードイノベーション」社が提訴した裁判1件(紛争調査番号337-TA-827)が唯一だ。

LG電子も2010年以後の訴えられた件数は、計16件にのぼっている。2010年1件、2011年6件、昨年7件、そして今年2件だ。この中で、解決されたのはわずか1件で、サムスン電子と同じ「デジテュードイノベーション」が提訴した件だ。サムスン電子とLG電子が訴えられた訴訟の大半は、スマート機器に絡んでいる。

現代・起亜自動車の場合は、GPSナビゲーションシステムと関連の訴訟が1件(337-TA-814)ある。現代・起亜車だけでなく、BMW・アウディー・GM・ホンダなどが共に訴えられたが、昨年末に解決された状態だ。業界では、現代・起亜自動車の訴訟件数が少ないのは、まだ自動車産業の特許紛争はICT分野ほど深刻ではなく、特許訴訟の発展段階上、ITCの提訴にまで拡大していないためだと分析している。

原告のタイプは、かつては製造会社が多かったが、最近では、パテントトロールと呼ばれるNPEが大半だ。NPEは、ペーパーコンパニーの場合が多いため、追跡が容易ではない。 サムスン電子を提訴した企業は、2011年以前にも東芝・富士通・SANDISK・イーストマンコダックなどの製造会社が大半だったが、最近では、エリクソンを除いては「ブラックヒールメディア」や、「インターデジタル」、「ウォーカーデジタル」などNPEと推定される会社が大半だ。連邦裁判所における訴訟に比べ、ITCの訴訟は、原告の立場では短期間に結論が出るため、コスト負担が少なく、一方の訴えられる側は、輸出が禁止され大きな被害をこうむる。IPキューブパートナースのミン・スンウク代表は、「ITCにおける特許判決は、アメリカ市場で販売できる機会を奪われるため、破壊力が大きい。すでに台湾のある通信会社は、ITCに訴えられて相当な被害を受けた」と説明した。

専門家は、アメリカ政府の保護貿易主義と絡み合い、ITCを利用した特許紛争が韓国企業に深刻な問題として影響を与えかねないと懸念している。特許で巨額な収益を上げるNPEがこれを積極的に利用しているため、韓国企業には、相当な圧迫になるという分析だ。 廣開土研究所のカン・ミンス代表は、「ITCにおける訴訟は、提訴される企業を圧迫する効果が大きく、結論が早く出されるため、特許管理会社の主な訴訟戦場として注目されている。特許訴訟に露出している企業は、侵害の可能性を最初から回避するとともに、特許管理会社の特許保有現状を把握するなど、対策を講じるべきだ」とアドバイスした。

キム・ジュンベ記者

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