知的財産ニュース Wi-Fiダイレクトの特許出願 韓国企業が主導

2013年4月3日
出所: 韓国特許庁

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スマートフォンのユーザーなら、一度は自分のスマートフォンに保存されている映画や音楽をその場で友達のスマートフォンに転送したいと思ったことがあるはずだ。

しかし、今のスマートフォンでは、近距離通信向けブルトゥースを採択しているが、転送のスピードが落ちていて一定距離を離れると転送ができないため、小容量のデータを転送の時に使うだけで、映画や音楽などの大容量データには向いていなかった。

近距離通信のもう一つの技術であるWi-Fiは、ブルトゥースのデメリットを補完し、スピードと距離の限界はある程度克服したが、無線接続ができる近距離通信網が構築されている地域でしか使えなかった。

こうしたデメリットを克服した新しい技術、Wi-Fiダイレクトが登場して注目されている。この技術は、大容量のデータを短時間内に(ブルトゥースの12倍)、100メートル(ブルトゥースの10倍)圏内では大容量のデータも自由に転送できる。

韓国特許庁によると、この技術の特許出願は、Wi-Fiダイレクト通信規格が発表された2009年に出願されはじめ、2年間増加したが、2012年には横ばいしている。

最近出願が急増したのは、Wi-Fiダイレクトが通信産業分野に及ぼす波及効果が大きいという期待が反映されているという。

出願人属性別の特許出願動向を分析すると、2つの特徴が見える。

第一に、出願人属性別では大手が71%、中小企業が12%、個人の出願13%、その他が4%だ。これは、韓国のスマートフォン端末大手メーカーを中心に出願が行われていることを示す。

第二に、外国人の出願が少ない。具体的には、関連技術のWi-Fi出願でも、韓国人に比べて外国人の出願割合が低いが、両技術ともに通信産業分野のコア技術ではなく、応用技術であるためだと考えられる。今後、Wi-Fiダイレクト技術の外国人の出願は、韓国市場を見極めて自国出願を基盤とする優先権主張の出願や、韓国を指定国とする国際出願の形で今後、韓国市場に参入するとみられる。

今後、Wi-Fiダイレクトの最大のデメリットである電池消耗の速さをどう克服するかによって、その活用の範囲が決められ、Wi-Fi技術が携帯端末だけでなく、M2Mに基づくホームネットワーク、家電、自動車産業など、様々な分野に利用されていることを踏まえると、現在はスマートフォンや端末機などを中心にした出願が多いが、様々な産業分野で利用されるWi-Fiダイレクト関連の出願が増加していくと予想されている。

Wi-Fiダイレクト関連技術の年度別における特許出願動向

年度

2009

2010

2011

2012

合計

出願件数

1

46

90

60

197

図:Wi-Fiダイレクト関連技術の年度別における特許出願動向グラフ

Wi-Fiダイレクト関連技術の特許出願人の動向(単位:件数)

区分

2009

2010

2011

2012

韓国人

大手

34

62

41

137

中小

6

14

4

24

個人

1

3

9

12

25

その他

1

4

2

7

1

44

89

59

193

外国人

-

2

1

1

4

1

46

90

60

197

図:Wi-Fiダイレクト関連技術の特許出願人の動向グラフ

Wi-Fi関連技術の特許出願動向

区分

2009

2010

2011

2012

外国人

50

56

31

36

173

(13.4%)

韓国人

277

295

186

362

1,120

(86.6%)

327

351

217

398

1,293

(100%)

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