知的財産ニュース 米国で標準特許として採択 市場支配力が向上

2013年2月22日
出所: デジタルタイムズ

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3Dテレビ技術の標準、韓国がリードする
(中)「3Dテレビ技術大国」国際標準で続く

3Dテレビ市場において韓国勢は、世界から認められている技術大国だ。数年前までは世界テレビ市場を席巻した日本のパナソニックやソニーなどを早くから追い抜き、「3Dテレビ大国コリア」の地位をさらに確固たるものにしている。

世界3Dテレビ市場でサムスン電子とLG電子が首位を争っている。サムスンの米国3Dテレビ市場のシェアは、44%に達するほど、競争優位を占めている。さらに、韓国の3Dテレビ技術を国際標準として採択した米国テレビ市場で、韓国企業の地位は突出して高い。

サムスン電子は、7年間30%に近い市場シェアを占め、首位の座を守っており、LG電スも10.2%のシェアを記録している。専門家は、当面、日本と中国の追撃にもテレビはもちろん、3Dテレビの最大市場である米国で3Dテレビ技術標準を武器に韓国市場の支配力は一層強化されると見込んでいる。

3Dテレビ市場の急成長の中、支配力強化

世界の3Dテレビ市場の急成長も韓国には追い風となる。昨年9月、ディスプレイサーチが調査した結果によると、2011年の世界3Dテレビ市場は、274億ドルから年平均10%以上成長し、2016年には608億ドル規模の市場が形成されるという。
また、テレビ市場全体で3Dテレビが占める割合も徐々に増え、2011年24%から2016年60%に急増するとみられ、今後、3Dテレビ市場が全体テレビ市場のけん引役になると予想されている。
こうしたバラ色の見通しが並んでいる中、韓国が開発したデュアルストリーム基盤の3Dテレビサービスの互換方式が米国国際標準に採択されたことが、世界最高の3Dテレビ技術の競争力を改めて印象付けるきっかけとなった。

これは、ETRIが開発した技術の国際標準化反映に向け、技術開発の企画段階から標準化を推進してきたことが功を奏した。また、3Dテレビ技術の国際標準採択の過程でもETRIが国際標準化会議で標準寄稿書の作成を主導し、標準制定に貢献できる委長団を多数輩出する一方、産業界との協力を通じた標準化グループの委長団、及びエディターの遂行など、国際標準化活動を主導してきた結果でもある。
これで韓国は、世界で初めてサービス交換方式の3Dテレビ放送技術開発と国際標準開発という「2頭のウサギ」が捕れるようになった。そして、米国の国際標準として採択されたことで、米国やカナダなどの北米市場で主導権を確保する礎を築いた。

コア標準特許で高い付加価値を創出

また、技術開発の過程で創出された4件のコア標準特許を確保したことも韓国にとって好材料だ。

ETRIは、技術開発を通じて、デジタル放送基盤3次元コンテンツをサービスするためのPMT構造、ステレオス・コピック・ビデオサービスに向けたシグナリング方法及び、その設備、デジタル放送基盤のステレオス・コビック・ビデオサービス提供方法及びその設備、3Dプログラムを受信して2Dモードに視聴する方法及びその設備の4件のコア標準特許を確保した。

標準特許は、ASTCのような国際標準化機関が定めた規格を技術的に具現する過程で必ず利用するか、実施が不可欠な特許で、相手が該当特許技術を利用するためには特許権者にロイヤルティを支払わなければならない。

そのため、デュアルストリーム基盤のサービス互換方式の3Dテレビ放送を商用化するためには、韓国が確保した標準特許を利用する条件で特許技術力を支払うが、それにともなう巨額の収益の創出も見込まれる。

ETRI実感放送システム研究チームのチョン・ウォンシクチーム長は、「欧州で韓国の技術に高い関心を持っており、今後の3Dテレビ商用化の動きを見守っている。ASTCは、商用化に備えて3Dテレビ放送チャンネルと放送プログラムガイド(EPG)などを含めたサービス標準を制定する予定だが、欧州の標準化機関DVBがこれを導入する可能性も残っていて、国際標準の採択にともなう付加価値の創出は、さらに増えると予想されている「と述べた。技術標準とともに、サービス標準が韓国の主導で行われた場合、技術・産業・経済・文化的な波及効果はさらに高まるということだ。

シナリオ通りなら、韓国は、3Dテレビ技術分野で「技術開発→国際標準の制定→知的財産権の確保→特許技術料の獲得」につながる技術事業化の全周期を完成できるようになる。

イ・ジュンギ記者

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