知的財産ニュース ウェブキャッシュと韓国富士通が和解

2013年7月9日
出所: 電子新聞

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訴訟にまで事態が拡大していたウェブキャッシュと韓国富士通の「ポータブルブランチ(Portable Branch)」特許侵害係争が解決された。初期市場であるだけに、不毛な消耗戦を続けるよりは、相互協力したほうが有利だという判断が働いた。

9日、業界によると、ウェブキャッシュのユン・ワンス代表と韓国富士通のパク・ジェイル代表は、8日に会同し、ポータブルブランチ特許侵害関連の係争を終えることで合意したという。侵害攻防の対象となった特許は、特許権を共同所有する方向で整理した。韓国富士通は、特許無効訴訟を取り下げる予定だ。

ポータブルブランチは、銀行の窓口業務に利用する端末機と周辺機器を小型化し、セキュリティ機能を強化してオフィスや学校などでも銀行業務の処理が可能にした製品だ。韓国富士通が2011年から企業銀行・シンハン銀行などに製品を供給し、ウェブキャッシュも後発ランナーとしてウリ銀行・釜山銀行などに供給して本格的に事業を展開していた。

ウェブキャッシュは、ポータブルブランチに関する「無線通信を利用した移動式バンキングシステムとそのサービス方法」という特許を5月に登録した。一方、韓国富士通は、6月に協力会社の職員が特許を出願してウェブキャッシュが版権を買ったとし、特許無効訴訟を提起した。ウェブキャッシュは、正当に確保した特許権を韓国富士通が事実をわい曲していると主張し、訴訟も辞さないと発表するなど、対立は激しさを増していた。

だが、両社は、ポータブルブランチ市場がまだ初期段階にあるため、不毛な競争は、互いに損害と判断した。今後は、侵害攻防が交わされている特許権を共同所有するほか、公正な競争と協力に取り組む方針だ。韓国富士通は、特許無効訴訟を取り下げる一方、具体的な協力事項をウェブキャッシュと共同発表する予定だ。両社は、メディアを通じた相互誹謗なども中止することにした。

韓国富士通のパク代表は、「ユン・ワンス代表と会って、不毛な消耗戦を続けないということで合意した。これからは、公正に競争、協力することにした。市場でいざこざが発生してしまうと、これから、両者が事業を推進することにネックになり得るということでコンセンサスができたのだ。近いうちに、実務的な協力案を共同で発表する計画だ」とコメントした。

ユ・ソンイル記者

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