知的財産ニュース FTAによる公開SW、知財権訴訟の懸念は要らず

2013年1月17日
出所: 電子新聞

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自由貿易協定(FTA)による公開ソフトウェア(SW)の訴訟リスクは、深刻な懸念要因ではないという分析結果が出た。公開SWは、公開とシェアを目的とするため、FTAによって知財権の規制が強化されたとしても影響力は限られるものになるという。

17日、情報通信産業振興院の韓国公開SW法センターは、昨年6月から3ヵ月間行った「韓-主要国間のFTAが公開SWに与える影響力の分析研究」報告書においてこのような内容を明らかにした。報告書は、国内外の主な事例をあげながら公開SWが知財権侵害で係争になった場合でも、裁判所に損害賠償などの訴訟を提起する事例は限られるものになるという結果を出した。

報告書は、知財権をめぐる規定を厳しく定めている韓米FTAなどにより、商用SWの知財権違反訴訟が公開SWの使用が委縮しかねないと述べている。しかし、公開SWについては、知財権侵害の場合でも情報提供(ソースコード公開)義務の順守などを通じた妥協点の模索が主なトレンドを形成するという見通しを示した。

2009年12月に行われた米国の公開SWライセンス関連メーカーとサムスン電子、ヒュメックスなど14社との著作権紛争がその代表的な例だ。このメーカーは、サムスン電子などがオープン・ソース・ライセンスであるGPL(General Public License)に違反したと主張した。

レナックス・ツール・パッケージであるビジー・ボックス(Busybox)を修正して登載した電子製品の販売差止め・損害賠償請求訴訟を提起した。しかし、サムスン電子とヒュメックスなど、大半のメーカーがソースコードの公開に合意し、事件はまとまった。

報告書は、違法商用SWの使用に対する処罰の強化により、むしろ正品の使用が増加してコスト面から公開SWの導入が増える可能性があるという見通しを示した。FTAが公開SWに反射的利益を与え得るという説明だ。

一方、公開SWの知財権リスクは知財権法、特許法、商標法などの様々な規制によって常時存在するとアドバイスしている。知財権のリスクを回避するため、公開SWの発注検収の強化、準法活用の支援、準法使用の認証などのガーバナンス体制を構築して合理的にライセンスを管理すべきだと強調した。

公開SWの知財権関連イシュは、公開SWの使用が増えたほか、チリをはじめシンガポール、欧州連合(EU)、ペル、米国など、韓国とFTAを締結する国の増加を受け、引き続き提起された問題だ。昨年、知財権の規制が最も厳しい韓米FTAが発行され、こうした懸念はさらに強まった。

韓国公開SW協会のソン・サンヒョ会長は、「まだ韓国企業の公開SWの利用率が把握されていない。発生し得る問題を事前に防ぐためには、公開SWを利用する企業の体質を根本から変えるべきだ」と述べた。

アン・ホチョン記者

韓国の公開SW市場の規模(単位:億ウォン) 資料:IDC

区分

2009年

2010年

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

平均

成長率

市場規模

103.8

149.5

215

235

276

309

352

22.6%

成長率

-

44.0%

43.8%

9.3%

17.4%

12.0%

13.9%

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