知的財産ニュース サムスンの事実上の勝利

2012年8月24日
出所: 電子新聞

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“アイフォン、アイパッドは韓国で販売禁止”

ソウル中央地方裁判所(民事11部)は、サムスン電子が1件、アップルが2件の特許を侵害したと判決し、両社の該当商品に対して製造・販売禁止、廃棄を命令した。特許専門家は、韓国裁判所の判決内容を分析すると、サムスン電子の完勝だと評価した。

李チャンフン特許法人のアジュ・ヤンホン弁護士は、「アップルが主張したデザイン特許侵害などは1つも認められなかったうえ、サムスン電子が侵害したバウンスバックUI特許は、ソフトウェア的に迂回が可能なため、影響は大きくないだろう。一方、サムスン電子が主張した通信標準特許の侵害は2件も認められたが、アップルの特許消尽論やデザイン特許は認められなかった。」と述べた。

サムスン電子の防御に成功

ソウル中央地裁は、今回の判決で、アップルが強く主張してきたデザイン特許侵害と不正競争防止法の違反を認めなかった。ソフトウェア的に迂回できるUI関連特許「バウンシング・バック」の侵害を一部認めただけだ。

ペ・ジュンヒョン部長判事は、「タッチスクリーンを採用している移動通信端末の正面デザインは、デザイン変形の余地が限られているうえ、消費者はちょっとした変形からも違う審美感を感じる。アップルのデザインと構成要素はとても単純だが、サムスン電子のギャラクシースマートフォンは、正面下段ボタンの形、個数、側面の曲線、カメラのデザインなどが異なっている。」と説明した。ペ判事は、「消費者が移動通信端末を購入する際、見た目だけではなく、OSや性能、商標、作動方法、アプリケーション、価格、AS、互換性など、様々な要素を総合的に考慮する。消費者がアップルとサムスン電子の商品を混同する可能性はないため、アップルの不正競争行為の主張は認められない」と述べた。

両社の被害は制限的

今回の判決で、サムスン電子は、ギャラクシーS、ギャラクシーTab、ギャラクシーTab 10.1など12の商品を、アップルはアイフォン3GS、アイパッド1,2の韓国内における販売が禁止された。また、これらの商品は製造できず、半製品を廃棄しなければならない。しかし、今回の裁判の対象になったモデルが旧型商品であるため、直ちに市場を与える影響は大きくないとみられている。

韓国市場においてのサムスンの主力商品は、ギャラクシーS3であり、アップルはアイフォン4Sだが、これらの商品は含まれていない。また、米国とは異なり損害賠償額も少ない。アップルとサムスン電子は、それぞれ相手企業に4000万ウォンと2500万ウォンの損害賠償の支払いを命じられた。

裁判所は、今日の判決についての仮執行を宣告したが、両社が執行停止を申請する可能性が高い。両社ともに今日の本案訴訟判決に不服し、控訴するとみられ、直ちに損害賠償を支払うことはないと予想されている。

金インスン記者

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