知的財産ニュース [世紀の特許合戦] 韓米の判決が相反した理由は

2012年8月26日
出所: 電子新聞

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24日、サムスン電子とアップルは、韓国と米国で相反する判決を言い渡された。

16時間の時差のため、先に判決が下されたソウルでは、サムスン電子の判定勝ちとなり、サンノゼでは、アップルの圧勝だった。

同じ事案をめぐり、両国の判決が相反したのは、陪審員制度などの司法手続きが異なるためだ。韓国と米国の裁判所が重んじている基準が異なるのも背景として挙げられる。米国はデザイン特許を、韓国は技術特許を重視する傾向が強いというのが専門家の見解だ。

両国の判決において最大の違いは、デザイン特許だ。

韓国の裁判官は、サムスン電子とアップルのスマートフォンにデザインが似た部分があるという理由だけで、デザインが同一・類似だとは言い切れないと判決した。タッチスクリーンを採用した移動通信端末の表面デザインは、デザインを変形する余地が少なく、消費者は、僅かな変形でも違う商品として認識すると説明した。サムスン電子とアップルの商品は、全体的な感じが違うため、侵害していないということだ。

しかし、陪審員制度を導入している米国は、全体的な印象やイメージを知的財産権として認める「トレード・ドレス」に集中した。角が丸い長方形のスマートフォンの形がアップル固有のものだと認めた。トレード・ドレスは、韓国では聞き慣れていない概念だが、訴訟が頻繁に行なわれている米国では一般化した。

標準特許の扱い方も異なった。

技術特許権者の権利保護を重視する韓国裁判所は、アップルがサムスン電子の標準特許2件を侵害したと判決した。一方、独占と競争者の敷居を低くする市場秩序を擁護する米国は、アップルがサムスンの通信特許を侵害していないと判断した。

一部では、最新技術への専門性に欠けている陪審員が自国のアップルに偏った決定を下した可能性も排除できないと分析した。

金インスン記者

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