知的財産ニュース 韓国のディスプレイがすごい、日本も「求愛中」

2012年11月22日
出所: 電子新聞

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韓国のディスプレイ産業は近年、先進国の進んだ技術を取り入れ、「量産」大国から「技術」大国への飛躍を目指している。韓国のディスプレイメーカーは、LCDパネルの性能とコストの改善、次世代のディスプレイ技術を手に入れるため、海外の先進企業と提携を推進している。主な対象は日本メーカーだ。販路を失っている日本企業は生き残りのため、韓国企業の要請に応じた形だ。直接韓国企業にコンタクトし、技術の購入を求めたケースもある。

オプトデザインは、LCDバックライトユニット(BLU)の発光ダイオード(LED)効率を高める技術を保有しているメーカーだ。サムスン電子は最近、オプトデザインと技術ライセンスを交渉しているという。LEDチップを少量化しながら明るさを維持できれば、コスト削減をはじめ、電力消費量の大幅な改善となる。他のBLUメーカーのA社も、関連のニュースを受けてサムスン電子に問い合わせしたという。まだ検証済みの技術ではないため、提携には至らなかったが、日本の強小企業の求愛はしばらく続くと見込まれている。

日本経済新聞によると、LGディスプレイが日本の薄膜トランジスタ(TFT)製造関連の基盤技術を保有しているフィルテックとの提携を推進しているという。フィルテックは真空状態ではない普通の大気環境でTFTをつくる技術を持っている。シャープの支援の下で商用化を急いだが、シャープの経営難が深刻化したことで、この技術に関心を示したLGディスプレイと協力を模索中だ。

次世代ディスプレイ技術の取り入れも積極的だ。サムスンディスプレイは、フレキシブル・ディスプレイ密封技術を確保するため、米国の「バイテックス」社から特許権を購入した。事前にライセンス契約を締結した企業を除けば、バイテックスの技術はサムスンディスプレイのみが使用可能になっている。

サムスンディスプレイは、これに先立ち、有機発光ダイオード(OLED)燐光材料分野で最先端技術を保有している米国の「ユニバーサルディスプレイ(UDC)」社と特許及び技術に関する戦略的な提携を結んだ。燐光材料は、蛍光材料より発光効率が4倍以上も高く、寿命も長い。一方、日本の保土谷化学とOLED素材の共同開発に乗り出し、子会社の持ち分投資にも参加した。

LGディスプレイは、日本素材メーカーの代表格である出光興産からOLED発光素材から端末構造の技術まで独占提供されている。出光興産は、LGディスプレイとの協力を強化するために韓国の坡州(パジュ)市に工場を設立する。来年1月から操業を始める予定だ。

新日鉄住金も韓国のディスプレイ市場への進出に死活をかけている。最近、韓国メーカーと協力を図る駐在員を派遣した。強化ガラスに代替するプラスチックパネルやカラーレジスト、OLED発光素材などを戦略的な品目として選定した。業界の関係者は、「韓国は、攻めの先制的な投資と優れた生産技術により、ディスプレイ大国として位置付けられて、誰もが無視できない技術大国となりつつある。」と語った。

ムン・ボギョン記者

海外技術メーカーの提携現状

企業名

コア技術

提携の現状

米国

バイテックス

フレキシブル・ディスプレイの密封技術

サムスンディスプレイに特許権を売却

ユニバーサル・ディスプレイ

OLED燐光材料

サムスンディスプレイと技術及び
ライセンスを提携

日本

オプトデザイン

バックライトユニットのLED効率を高める技術

サムスン電子と技術提携を交渉中

フィルテック

大気中でTFTをつくる技術

LGディスプレイと提携を交渉中

出光興産

OLED発光素材

LGディスプレイに独占供給及び
LGディスプレイに独自構造の技術を伝授

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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