知的財産ニュース 不公正な特許ライセンス契約が中小企業を苦しませ

2012年12月16日
出所: 電子新聞

3936

中小企業が海外企業と特許ライセンス契約を結ぶ際、不公正な条件の取引によって被る被害が深刻であることが明らかになった。海外の特許ライセンス代行会社(ライセンサー)が契約上の優越な地位を悪用し、横暴に近い取引を強いているが、韓国の中小企業は、製品の生産のためにしかたなくその要求に応じ、「泣き寝入り」している状況だ。公正な取引を定着させて韓国の製造産業を保護すべきだという声が高まっている。

16日の業界によると、中小メーカーが海外のライセンサーと特許使用契約を結ぶ際、対応能力の不足により、不合理な契約を締結しているケースが多くなっているという。海外のライセンサーは、電機部品・ソフトウェア・放送通信機器・映像音響機器など、分野ごとに特許プールを構築し、技術が必要なメーカーからロイヤルティー支払いを受け取る代わり、特許使用を許可する代行会社だ。

産業界が指摘する主な不公正な契約の内容は、必要のない特許をプールという理由で一括使用させる行為、会計監査を頻繁に要求し、問題が発生した場合には厳し過ぎるペナルティを科し、監査の時には、営業秘密と営業戦略関連の資料までを要求、製造部品のサプライチェーンをライセンサーが統制、不公正な契約書の修正を禁止する行為など、その例も様々だ。被害を受けた経験のあるメーカーは、「契約条項の表現を曖昧にして紛争が起きれば、それを勝手に解釈して権利を濫用している。」と不満を示している。

しかし、被害企業は、適切な対応が取れていない状況だ。韓国電子情報通信産業振興会特許支援センターのチェ・ソンシクチーム長はその現状についてこう語った。「海外のライセンサーが特許使用契約に「甲」の地位を理由に不公正な契約を強いているが、「乙」である中小企業としては、事業の維持のため、不当な契約であることを認知していながらも、やむを得ずに契約を締結している状況だ。」

苦情は多いものの、不公正な取引の規模や、契約書における「ポイズン・ピル」の意味、全体的な把握と認識が未だに行われていない状態だ。業界は、「契約を締結する時にライセンシー(特許使用会社)の被害につながる不公平な条項が多いため、契約書を綿密に分析すべきだ。また、契約書と不当な取引について公正取引委員会が調査を行うべきだ。」と強調した。

これについて特許支援センターは、今月中に特許プールと標準特許保有企業の不公平な契約の実態調査に入る。同センターのイム・ホギセンター長は、「独自で資料を入手し、法律検討対象の技術を確認して競争制限の行為について公正取引法の提供が可能かどうかを検討する計画だ。来年3月に公式に公取委に「市場支配的な地位濫用行為の申告及び不公正定款審査の請求」などの調査を依頼する予定だ。」と述べた。

公正取引委員会定款審査課のイ・ユテ課長は、「申し立てを受けて調査に着手すれば、不公正な行為や課徴金などの制裁措置を、不公正な定款に問題があれば、修正・削除する。契約書に一方的にリスクと負担を転嫁する条項は無効になる。」と説明した。

クォン・ドンジュン記者

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195