知的財産ニュース 憲法裁判所、「弁理士に特許侵害訴訟の代理権を与えないのは合憲」

2012年8月23日
出所: 電子新聞

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特許侵害訴訟において弁理士に訴訟代理人の資格を与えないことは、憲法に違反しないとう判決が出た。憲法裁判所は、23日、「特許侵害訴訟時に弁理士の訴訟代理権を認めるべきだ」として、趙ヒリェ弁理士など8人が提出した憲法異議申立てを全員の一致意見で却下した。

憲法裁判所は、「弁護士に特許侵害訴訟代理権を許容することは、合理的な差異によるものであり、(弁理士側が主張している)`不当な差別′とは見なし難い」と述べた。結局、特許訴訟侵害時に弁理士には訴訟代理人の資格を与えないという意味だ。

韓国では、民事訴訟においては弁護士のみが訴訟代理人を務めることが出来る。特許などの知的財産権の侵害紛争の場合は、民事訴訟の性格を帯びていると判断し、弁理士は訴訟代理人に務められない。

弁理士の訴訟代理権関連の憲法異議申立ての始まりは、2010年8月に遡る。当時、商標権を侵害されたH氏がソウル高等裁判所で裁判を受ける際、弁理士が代理人の資格で出席した。高裁は、弁理士は訴訟代理人の資格がないとして「原告不出席処理」を下した。弁理士側は、訴訟手続きの中止を要請したが、裁判所は退けた。

9月、同事件に再び弁理士が訴訟代理人として出席したが、ソウル高裁は、再び原告不出席に処理して結局、原告敗訴判決を言い渡した。その後H氏は、2010年12月、憲法異議申立てを申請した。同時に、趙ヒリェ弁理士などの8人は、「民事訴訟法上、弁護士のみが訴訟代理人資格を有するということは、弁理士法8条に違反する」として憲法異議審判(2010ホンバ740事件)を請求した。弁理士法8条には、「弁理士は、特許、実用新案、デザインまたは商標に関する事項の訴訟代理人になりうる」と明示されている。

昨年12月、憲法裁判所は、「H氏が提起した憲法異議審判(2010ホンバ459事件)は、裁判の前提性に欠けている」と判断して却下決定を下した。却下決定に対し、大韓弁理士会は、「憲法裁判所の決定は、すでに最高裁の判決で棄却されて商標権が無効になったため、商標権が有効であることを前提にした審判請求は、棄却されてしまう」と述べた。H氏の事件そのものが裁判所で処理する問題ではないという意味だ。

憲法裁判所の決定に対し、弁理士会は直ちに遺憾の意を表した。大韓弁理士会の田ジョンハクスポークスマンは、「憲法裁判所の裁判官の補充意見で、弁理士と弁護士の共同訴訟代理権導入の必要性が提起されただけに、今後、弁理士法の改正に向けて取り組んでいきたい。単に弁理士の集団的利益の面ではなく、科学技術界全体の念願だっただけに、業界と共に国会で意見を主張していく。」と述べた。

権ドンジュン記者

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