知的財産ニュース 政府R&D、未来の有望R&D課題を導出

2012年4月3日
出所: 韓国特許庁HP

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韓国特許庁は、R&Dの課題発掘段階から特許分析を通じて源泉・核心特許の先行獲得が可能な未来有望技術をR&D省庁に提供し、強い特許の創出型として政府R&D事業の革新を支援すると明らかにした。

現在、政府R&D事業として創出された特許成果は、量的には高い水準に到達しているが、質的水準は相変わらず不十分※※で活用実績が低い。

※特許生産性(R&D投入費用10億ウォン当りの特許出願件数,2009年):韓国政府R&D1.2,米国の大学0.2,日本の大学0.2
※※政府R&Dの優秀特許比率(2006~2010):民間R&Dの約1/2,外国人の約1/5

政府R&D特許成果の質的水準を高めるためには、源泉・核心特許の先行獲得が可能な未来有望技術に対するR&Dの集中的な投資が必要だが、現在これを後押しする特許分析支援体系が不十分な状態にある。

これに伴い特許庁は、今年から特許性の観点から未来有望技術を選定し、R&D課題として提供する事業のバイオ、移動通信、ロボットの3大産業分野に対して関係省庁と共同で推進する予定だ。

※3大産業分野:バイオ(知識経済部,福祉部,国土部)、移動通信(知識経済部,放通委)、ロボット(知識経済部)

特許性の観点から有望なR&D課題を選定する事業は、政府R&Dという服の最初のボタンをきちんとかける事と同じことと言える。即ち、政府R&D事業を通じて優秀な成果が導出されるよう、同事業が集中的な投資方針を提示し、主導するようになると見られる。

これまでは、専門家の主観的な評価方法でR&D課題を導出して、特許性の観点から優先順位の高い課題が選定されるという保障はなかったが、今後は客観的な特許分析結果を基に優秀な特許として創出の可能性が高い技術がR&D課題として選定されるものと思われる。

去る3月30日、R&D課題についての会議が開催され、国家科学技術委員会、放送通信委員会、知識経済部、保険福祉部、国土海洋部、特許庁などの実務者、R&D企画専門家、産・学・研技術専門家など70人余りが参加し、事業に対する詳細な実施方針および活用方案に対して協議した。

同事業は、3月~10月にかけて実施される。まず、産業分野別に省庁のR&D技術体系と現場での技術需要を収集・統合し、これを基に最近の出願増加率などを分析して100大候補有望技術を導出する。

合わせて、候補の有望技術に対する韓国の特許経済力の分析、特許紛争情報の分析、技術別・出願人別の特許障壁の分析、空白特許領域の分析などの深層分析を実施して、分析結果に基づいて最終的に有望R&D課題を選定する。

特許庁は、同事業で導出された有望なR&D課題を政府R&D省庁だけでなく、産・学・研にも提供して民間のR&D戦略樹立を支援する予定だ。

特許庁産業財産政策局 李・ヨンデ局長は「未来有望技術に政府R&D能力を集中すれば、良質なR&D特許成果物の創出が可能になり、政府R&D投資の効率性を高めることができる」と話し、「今後は政府R&Dの効率性向上のために、さらに多くの産業分野で同事業の支援を拡大していく計画だ」と述べた。

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