知的財産ニュース 自動車も速度に応じて呼吸する

2012年4月16日
出所: 韓国特許庁HP

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私たちが速く走る時、心臓の拍動数が上がり多くの空気を必要とするのと同じく、自動車も高速で走行すればするほどエンジンの回転数が速くなり、エンジンに供給される空気量もまた徐々に多くならなければならない。このため、シリンダーごとに吸排気バルブ数を2個から4個に増やす DOHC(Double Over Head Cam) 技術やバルブの開閉時期をエンジンの回転数によって変更する可変バルブタイミング(VVT, Variable Valve Timing) 技術は既に一般化された。

最近では、人が歩く時と走る時の呼吸が違うように、エンジンの回転数によってバルブが開く程度を変更し、高速と低速で同時に高出力と低燃費を可能にする可変バルブリフト(VVL, Variable Valve Lift)技術が登場し、発展し続けている。バルブリフトとは、エンジンの吸排気バルブが開く程度を意味するが、既存のエンジンでは車両の低速と高速運行時にバルブの開く程度が同じ状態で、アクセルペダルだけで空気量が調節されるため、空気量の精密な制御が難しかった。これに比べて、VVL技術はエンジンの速度や出力によってバルブリフトを最適に変更して空気量を制御することで燃料の不必要な損失を防ぎ、有害な排気物質の排出を減らす先端技術だ。

ポルシェ(バリオカム技術)、BMW(バルブトロニクス技術)、ホンダ(i-VTEC技術)、トヨタ(VVTL-i技術)、日産(CVTC技術)などの海外有名自動車メーカーでVVL技術を搭載した車両が最近次々に発売されているなか、国内では現代自動車の2012年型ソナタに連続可変バルブリフト(CVVL, Continuous Variable Valve Lift)技術が初めて適用された。

韓国特許庁の資料によると、最近10年間でVVL関連特許が総計300件余り出願されており、2002年に3件に過ぎなかった出願数が持続して増加し2007年に61件とピークを記録、その後毎年30~40件のVVL関連特許が着実に出願されている。総出願のうち84%が内国人の出願で、16%が外国人による特許出願。国内では現代自動車、起亜自動車、モートニックなど完成車メーカーや自動車部品会社の出願が多く、外国人の中では三菱、トヨタ、日産など日本の自動車会社がVVL関連特許を多く出願した。

VVL装置は、バルブの開く量を調節する方式により大きく機械式、電子式および油圧式の3種類に区分されるが、このうち現在多くの市販車に適用されている油圧式VVLに関する出願が最も多かった。技術分野別では、VVL装置の制御に関する発明が全体出願の36%と最も大きい割合を占めているが、これは最新の自動車技術が大部分電子制御方式を利用しているのを反映していると見られる。

特許庁関係者によれば、最近原油価格が急騰して、高効率かつ低燃費自動車に対する消費者の関心が高まっており、有害排気ガスの排出に対する規制が次第に強化され、遠くない将来にVVL技術が大部分の乗用車に適用されると予想される。また、VVL技術に対する自動車業界の研究開発も強化されると思われる。これにより、様々な方式のVVL技術に関する特許出願が引き続き行なわれると見られる。

参考資料

資料1:可変バルブリフト技術の年度別特許出願動向

資料2:可変バルブリフトの技術分類別特許出願動向

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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