知的財産ニュース 恐怖の放射能、特許技術で捕まえる

2012年3月12日
出所: 韓国特許庁HP

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今年3月11日は、日本で大地震が発生して福島原子力発電所が停止した後、大規模な放射性物質が漏出して1年になる日だ。1年が過ぎた現在も福島の被害地域の復旧が進まず、韓国でも懸念の声が大きいなかで、韓国特許庁は放射能に汚染された施設、土壌などから放射性物質を除去する技術に関する特許出願現況を発表した。

特許庁資料によれば、同技術に関して最近10年間で170件の特許が出願された。2002~2005年は毎年9件程度出願され、2006~2011年は毎年23件程度で2006年以降出願件数が増加している。これを技術分野別で見ると、機械的方法(82件,48%)、化学的方法(66件,39%)、電気化学的方法(22件,13%)の順で出願件数が多かった。また、これを出願人別で見ると、大部分の出願人が内国人(145件,85%)であることが明らかになり、韓国が相当な技術力を蓄積していることが分かった。

機械的方法は、切削工具を利用して汚染された施設や土壌の表面を直接削り出す。化学的方法は、汚染された施設や土壌の表面に試薬を接触させて化学反応を起こして汚染物質を分離する。電気化学的方法は、汚染された土壌などに電極を挿入して電流を流して汚染物質を分離する。特に、これらの電気化学的方法は2007~2009年の間に内国人によって多く出願され、韓国の一部企業がこの技術を利用しており、福島の放射性物質の除去作業に参加を要請しようとしたが、日本側の事情により現在は参加が保留されている状態だ。

放射性物質は燃やしたり、中和させて化学的形態を変化させても放射能は消えず、その半減期が通常数十万年に達する。したがって、汚染された施設や土壌などの表面から除去した放射性物質は、原則的に全て回収した後固体化して、現在の環境から隔離しなければならない。代表的な固体化技術では、放射性物質をガラス構造と結合させて安定した形態に閉じ込めておくガラス化技術があり、固体化された放射性物質は地下処分場で長時間効率的に管理することができる。

特許庁関係者は、原子力発電所の事故の可能性は常に存在するため、今後原子力発電所の事故に対して迅速かつ効率的に対処できる技術開発が持続的に行なわれるべきだと話した。

参考資料

出願人別 放射性物質除去技術特許出願件数

出願件数

主要出願企業

内国人

145件(85%)

韓国原子力研究院、韓国水力原子力、 韓国電力公社、韓電KPS、韓電原子力燃料、韓一原子力、韓一プラントなど

外国人

25件(15%)

アレバ(フランス,ドイツ)、コムミサリア(フランス)、エレクトリックパワーリサーチ(米国)、チヨダ(日本)、東芝(日本)など

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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