知的財産ニュース 韓国薬草の効能、特許で検証された

2012年7月19日
出所: 韓国特許庁

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『特許で知る韓国薬草』を出版
趙シクジェ書記官、10年間カメラに収めた1700枚の写真と1300枚の特許・論文を収録

韓国民族と数千年の歴史を共にしてきた韓国自生植物を理解しやすく分析・整理した書籍(「特許で知る韓国薬草」)を現職の特許庁公務員が出版して話題になっている。

本書には、薬草以外にもキノコや山菜などの身近な植物をはじめ、10年間全国を歩き回りながら撮った1700枚の写真と有益な情報が収録されている。

著者は、韓国特許庁の趙シクジェ書記官(54歳)である。趙書記官が全国を歩き回りながら撮った薬草やキノコなどを直接運営しているブログに書き込んでいた。その資料を読んだ出版社が出版の話を持込み、出版が決まった。

約700ページに及ぶ本書には、直接撮影した野生の高麗人参やツルドクダミなどの貴重な薬草からメシマコブ、ヤマブシタケ、カバノアナタケなど、珍しいキノコ類の写真が色とりどりに収録されている。また、韓国人には親しいツルニンジンやオタカラコウなどの山菜、ヤマブドウ、トックリイチゴ、栗、柿などの身近な成木が四季よって移り変わりする姿が載せられている。

特に、植物については、韓方の情報と共に、最近発表された特許や研究論文で判明された新たな効能が詳細に整理されており、その他にも、韓方化粧品としての利用可能性、混同しやすい薬草の区別方法、珍しい薬草やキノコの栽培方法まで紹介されている。

本書で紹介している特許と研究論文の件数は1300件に及び、大量な情報を盛り込んでいるため、学界や森林・林業界から関心が寄せられるものと予想されている。

趙書記官が本の出版を決めたのは、理由があったからだ。数年前、兄が癌で亡くなったことをきっかけに、現代医学を補完できる抗癌効果のある薬草に関心を持ち始めた。その後からより頻繁に全国の山野を歩き回ったのである。

春には、福寿草、白山一華など野の花やトウキ、オタカラコウなどの山菜を観察し、秋には、野生の高麗人参、松茸、コウタケを探しまわった。冬には、カバノアナタケやメシマコブのような薬用キノコの自生地も観察した。

彼の家柄も好奇心をそそる。3代の家族が韓医師だったため、子供の頃から韓薬剤に親しんでおり、自然に身に付いていたあらゆる薬草への知識が今回の出版に大きく役立った。

趙書記官は、「韓国の薬草知識の客観化が必要だと考えていたので、『東醫寶鑑』や『方藥合編』のような古典医書だけでなく、最新の研究論文や関連特許を読んで自生植物の価値と特徴を理解するようになり、今回の本ではそういった内容を分かり易く整理したいと思った。野生の高麗人参やメシマコブ、カバノアナタケがなぜ体に良いのかと疑問を持っていたところ、資源植物の特許から答えを得る事が出来た」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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