知的財産ニュース 融合化・複合化技術が我々の未来だ

2012年8月8日
出所: 韓国特許庁

3663

韓国のハンバッ大学、京都工業大学、九州工業大学、豪州のウーロンゴン工業大学、ドイツのマルティン・ルター大学など、国内外の大学5校と世宗(セジョン)市は5月、「世宗市グローバル融複合コンソーシアム大学の設立に向けた了解覚書」を締結したことを発表した。

融合化・複合化技術の専門人材を育成するため、韓国では、既にソウル大学が2009年3月に融合科学技術大学院を設立・運営しており、高麗大学も融合ソフトウェアー専門大学院を設立するなど、諸大学で融合化・複合化専門大学院が運営されていたが、今回の世宗市の発表は、融合化・複合化の専門人材を育成するために諸外国の教育インフラを取り込むきっかけをつくるということにその意義があるとされている。

関連教育機関の持続的な増加は、社会的なニーズに応じたものであり、融合化・複合化技術が次世代の主な産業としてなり得るということを示している。

では、融合化・複合化技術とは何か。それは、相違する学問的背景や性格の異なる技術が結合された技術を意味し、新しく開発された融合化・複合化技術によってその技能が顕著に向上された技術、または、新しい技術領域を開拓した技術などを意味する。

さらに、未来の経済・社会的な問題を解決するにおいて、多様な学問分野及び異種技術が結合されたイノベーション技術として認識されているほか、次世代の競争力確保に向けて集中育成すべき分野だと認識されている。

こうした社会的関心は、融合化・複合化技術分野の特許出願の傾向からも確認できる。韓国特許庁によると、融合化・複合化技術の出願件数の割合は、出願の全体件数に比べ、2005年度6.2%だったのが2011年には25.7%と4倍も上昇した。なるほど、その増加率は「爆発的」だとも言える (資料1を参照)。

世界トップレベルを誇る韓国のIT技術と融合されたIT関連の融合化・複合化技術の出願件数の割合は、2011年に出願全体の10%に達していると把握され、IT融合技術が融合化・複合化技術の発展をけん引していることが確認できた(資料2を参照)。

韓国特許庁は、2000代初めから増加傾向が続いてきた融合化・複合化関連技術の出願は、高い社会的関心を背景に、今後も増加基調が続くと予想している。特に、IT統合メディア、U・ヘルスケアなどのIT基盤の融合化・複合化技術に関する出願が急増するという見通しを示した。

資料1:年度別の融複合技術の出願比率動向

年度 全体出願(件) 融合複合出願(件) 比率(%)
2001 145,641 1,279 0.878
2002 145,639 1,504 1.03
2003 160,183 2,065 1.29
2004 177,868 7,416 4.17
2005 198,774 12,273 6.17
2006 199,793 19,019 9.52
2007 193,921 22,706 11.7
2008 188,373 23,815 12.6
2009 181,001 36,428 20.1
2010 183,953 44,369 24.1
2011 190,709 49,032 25.7

図:年度別の融複合技術の出願比率動向

※融複合技術は、出願に2つ以上の国際特許分類(IPC)が付与された出願のうち、2つ以上の国際特許分類のセクション(Section)が相違であるものと定義

資料2:年度別のIT融合複合技術の出願比率の動向

年度 全体出願(件) IT融合複合出願(件) 比率(%)
2001 145,641 417 0.324
2002 145,639 524 0.36
2003 160,183 924 0.577
2004 177,868 3,124 1.76
2005 198,774 5,235 2.63
2006 199,793 8,245 4.12
2007 193,921 9,241 4.76.
2008 188,373 9,323 4.94
2009 181,001 11,618 6.42
2010 183,953 14,291 7.77
2011 190,709 17,327 9.09

図:年度別のIT融合複合技術の出願比率の動向

※IT融複合技術は、融複合技術に該当する出願のうち、IT関連のセクション(G or H Section)を主分類としているものと定義

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195