知的財産ニュース 米国ITC、「サムソンがアップルの特許を侵害」

2012年10月25日
出所: デジタルタイムズ・電子新聞

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米国の国際貿易委員会(ITC)は、サムソン電子がアップルとアップルの前最高経営責任者である故スティーブ・ジョブズ氏が保有しているスマートフォン及びタブレットPC関連の4件の特許を侵害したと判定した。

米国時間の24日、ITCの審判官は、サムソン電子とアップルの訴訟の予備判定でアイフォンのデザイン関連特許を含めてアップルとジョブズ氏が保有している4件の特許をサムソン電子が侵害したとITCのウェブサイトにて発表した。

同審判官が侵害したと判断した特許には、ジョブズ氏が共同開発者として参加したタッチスクリーン技術関連の特許も含まれている。今回の判断は、予備判定であるため、ITCは、全体会議を経て特許侵害についての判断を確定する。サムソンの特許侵害が確定されれば、該当品目の対米輸出に制約となる可能性がある。

キム・ナリ記者


米国の国際貿易委員会(ITC)がサムソン電子のアップル特許の侵害を認める予備判決を下したことで、一部製品は米国への輸出が差し止めされる可能性が高まった。最終判決が残ってはいるが、予備判決が覆された事例は極めて少ない。

米国裁判所の陪審員評決に続き、行政機関であるITCまでがサムソン電子の特許侵害を認めるなど、米国における特許合戦ではサムソン電子に不利な展開となっている。

サムソン電子は、最近欧州の特許訴訟で相次いで勝訴し、最終判決を覆すために総力戦で挑む構えだ。ITC判決の対象外である「ギャラクシーS3 」や「ギャラクシーNOTE」などの新製品を中心に米国市場を攻略する案も模索するという。

侵害だと判定された技術は?

ITCのトーマス・ペンダー(Thomas Pender)審判官は、米国時間の24日、アイフォンのデザイン関連特許を含め、アップルと故スティーブ・ジョブズ氏が保有している4件の特許をサムソン電子が侵害したと判定した。アップルは、昨年7月5日、ITCにサムソン電子が自社の特許を侵害したとして製品の輸入差し止めを申請した。

ITCが侵害を認めたのは、アップルのデザイン特許1件と常用特許3件の4件だ。

ITCは、サムソン電子がアイフォンの表面デザイン関連の特許と、いわゆる「ジョブズ特許」と呼ばれているタッチスクリーン関連のヒューリスティックス技術も侵害したと判定した。

スマートフォン画面にイメージが半透明に重なる技術とイヤホン入出力端子に組み込まれたマイク認識技術の侵害が認められた。

サムソン電子の製品、米国で販売禁止?

ITCの予備判定で、直ちに販売差し止めになることはない。ITCは、全体会議での検討を経て来年2月25日に最終判決を言い渡す予定だ。最終判決で輸入差し止めになっても「ギャラクシーS3」や「ギャラクシーNOTE2」、「ギャラクシーNOTE 10.1」などの新製品は対象外となっている。

侵害判定された技術が適用された製品は、「ギャラクシーS」や「ギャラクシーS2」、「ギャラクシー・ネクサス」、「ギャラクシーTab 10.1」などだ。全て今年の第2四半期まで米国市場で販売されていた主力商品だ。サムソン電子は、このラインアップで第2四半期における米国スマートフォン市場シェア2割を占めた。「ギャラクシーS3」などの新製品を発売し、同モデルの売上げは頭打ちになったが、直ちに販売差し止めになると、中低価格のモデルが消えてしまう。サムソン電子の米国でのシェアが2割を割る可能性も排除できない。

最終判決の見通しは?

米国の知的財産権専門会社「Tech IPM」のイ・グンホ代表は、「予備判定後、3か月の審議を経て来年に最終判決が出されるが、予備判決の結果が最終の段階で覆された事例はごく稀なので、影響は大きいだろう。」と述べた。

サムソン電子側は、「今回の予備判定に対する再審査を直ちに要請する計画であり、最終決定では我々の主張が受け入れられるはずだ。」と確信した。

キム・インスン記者

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