知的財産ニュース サムスン対LG、「OLEDテレビ」プライドをかけた対決

2012年10月9日
出所: 電子新聞

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第4四半期に有機発光ダイオード(OLED)テレビを発売すると宣言したサムスン電子とLG電子が商品の性能と発売時期を めぐり、プライドをかけた戦いを繰り広げている。

9日に開幕する韓国電子情報通信大戦(KES2012)は、OLEDテレビをめぐって競争を展開している両社にとって運命的な日になることが予想されている。

両社が発売する55インチのOLEDテレビを同じ空間で同時に公開するのは、今回が初めてだ。一般人も両社製品を直接見比べられるという点で両社とも神経をとがらせている。

サムスン電子は、パビリオンの前にOLEDテレビのハイライトゾーンを構成し、1つのパネルに2つの画面を同時に映る「デュアルビュー・ディスプレイ」機能を展示する。全て8台のOLEDテレビをその場で公開する。

LG電子は、10台以上のOLEDテレビを展示場のメインパビリオンに展示する。別途のOLEDテレビゾーンも構成したが、最高の画質感を最大化した展示用のテレビ模型も設置する。超高画質のUDテレビもあるが、OLEDテレビを主な競争品目と見込み、展示にも力を入れた。

業界関係者は、「サムスンとLGは、OLEDテレビをどちらが先に発売するかをめぐり、激しく競争している。一般人が直接比較して評価する見本市に総力を上げざるを得ない。」と分析した。

3Dテレビとスマートテレビにおいてしのぎを削るサムスンとLGは、OLEDテレビの発売時期をめぐっても駆け引きを続けている。サムスン電子は、テレビ部門では、今年まで7年連続世界市場シェア1位の維持が予想されている。「LED‐3D‐スマート」のテレビコンセプトでの主導権を守るためにもOLEDテレビを先に発売しなければならない。

LG電子は、最近、ク・ボンム会長が未来の主な産業技術における「先導経営」を宣言し、他社に先んじるべき代表的な品目としてOLEDテレビを取り上げた。グループ会長の特命まで出されたLG電子も、OLEDテレビで負けてはいられない。LG電子は、テレビ部門だけは、技術力においてサムスン電子と同位か、むしろ優位であることを強調してきた。OLEDテレビを先に発売し、「パイオニア」のイメージを確保したい思惑がある。

OLEDテレビと関連し、両社は、技術攻防と訴訟合戦を行っている。サムスン電子は「RGB」、LG電子は「W・RGB」と、それぞれ違う方式でパネルを製造している。色感の具現、歩留りなどをめぐり、自社技術の優位性を強調する攻防を繰り広げているのだ。

サムスンディスプレイとLGディスプレイは、OLEDをめぐり訴訟中だ。サムスンディスプレイは、LGディスプレイが自社の研究員とコア技術を計画的に持ち出したとして訴訟を提訴しており、LGディスプレイは、サムスンディスプレイが自社のOLED特許を侵害したとして反訴した。

製品の発売に関連し、サムスン電子とLG電子ともに、全ての製品を量産できるほどの技術力を確保していないという指摘もある。企業内部からは、発熱やパネルの歩留りなどが量産に乗り出すほど完ぺきではないという声も聞こえる。市場調査機関のユビ産業リサーチは、両社のOLEDパネル生産規模は4万台水準だが、現在の技術では、年末まで月2000台の生産も容易ではないという分析を出した。

家電業界の関係者は、「OLEDテレビは、グローバル企業のなかでも1,2位の企業が競争する次世代テレビの代表的なアイテムだ。サムスンとLG電子が技術力と発売時期をめぐり、一歩も譲れない戦争は避けられない。」と述べた。

キム・スンギュ記者

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