知的財産ニュース 政府系研究機関の特許84%が「未活用」

2012年9月24日
出所: デジタルタイムズ

3778

年間の特許維持費用及び技術料の収入

機関名

技術料収入(a)

特許維持費用(b)

(a-b)

生命(研)

1,161

1,443

-282

韓医学(研)

75

264

-189

基礎(研)

158

353

-195

KIST

2,807

2,986

-179

KISTI

384

472

-88

天文(研)

29

32

-3

核融合(研)

167

83

84

航宇(研)

863

336

527

標準(研)

1,324

631

693

原子力(研)

2,668

1,974

694

合計

9,636

8,574

1,062

※特許維持費用:出願、登録、維持費用全てを含める(資料:政府系研究機関)

韓国教育科学技術部傘下の政府系研究機関10ヵ所のうち、6か所は、技術料の収入より特許の維持費用が多くなっていることが明らかになった。

国会の教育科学技術委員会のミン・ビョンジュ(セヌリ党)が教育科学部の基礎技術研究会から提出された所属研究所の特許保有資料によると、10ヵ所のうち、6か所は、特許から得られる技術料の収入を上回る費用を特許の維持にかけていたという。

2011年ベースで技術収入が最も多い研究所は、韓国科学技術研究院(KIST)で28億700万ウォンを計上した。しかし、この機関が特許出願と登録、維持するために使った費用は、29億8600万ウォンで技術料の収入を1億8000万ウォン上回った。KISTは、2382件の特許を保有している。

2011年ベースで1565件の特許を保有している韓国原子力研究院は、技術料の収入(26億6800万ウォン)が特許の維持費用(19億7400万ウォン)より7億ウォン多く、韓国標準科学研究院も技術料の収入(13億2400万ウォン)が特許の維持費用(6億3100万ウォン)の2倍以上とされた。韓国航空宇宙研究院も技術料の収入が費用より5億2700万ウォン多くなった。

一方で、韓国生命工学研究院(‐2億8200万ウォン)、韓国基礎科学支援研究院(‐1億9500万ウォン)、韓国韓医学研究院(‐1億8900万ウォン)などは、特許の維持費用が技術料の収入を上回っていた。

2011年に10ヵ所の政府系研究機関が得た技術料の収入は、総額96億3000万ウォンであり、特許の維持費用は、85億7000万に達した。11年の1年間に新しく登録した特許は、なんと1357件となり、登録特許件数の20%を超えている。

さらに、現在保有している登録特許6660件のうち、技術の実施や共同所有など、活用の実績がないケースは、全体の16%である1026件にすぎないことも明らかになった。残り84%(5634件)は、一度も活用されていない「未活用特許」だ。

標準科学研究院の活用特許比率が39%と突出して高くなった一方で、核融合研究所(1%)、天文研究院(0%)、航空宇宙研究院(3%)などは1ケタにとどまった。

ミン・ビョンジュ議員は、「未活用特許が84%に達しているのは、R&D課題の選定段階から実用化より、評価と実績を重んじているのが要因とされる。特許信託制度などを通じ、未活用特許を減らし、R&Dの段階から量よりは、質を重視する基準を設けるべきだ。」と強調した。

アン・キョンエ記者

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